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【速報】「令和7年度概算要求」を読む
2024/09/02
コンサルタントの淡河です。毎年恒例の8月末の政府概算要求が出そろい、中小企業政策を管轄する経済産業省からもいくつかの資料が公開されました。
そこで今回は、以下の資料から令和7年度予算における中小企業向けの補助金の動向を探ってみます。
令和7年度概算要求における補助金の予算
まず、予算額を見てみましょう。経済産業省全体では令和6年度の予算1兆9,072億円から2兆3,596億円と約24%増です。もちろん、これから財務省の折衝があるので確定額ではありません。とはいえ、その中で明確に中小企業向け補助金の原資となっている「中小企業対策費」は1,082億円から1,300億円と約20%のアップ。省全体と比べて伸びが低いように見えます。
ただし、補助金の予算には別枠もあります。つまり、昨年12月からの複数年度に渡って使える「令和5年度補正予算」の残りです。そのため、実際の予算はこの金額よりかなり大きくなります。
そして、今年12月には「令和6年度補正予算」が追加される予定です。令和7年度の中小企業対象の補助金の全体像はこの時期までは確定しません。
そのため、今回の概算要求で見えるものはこれまでの流れと比較した令和7年度予算の補助金の「傾向」です。以下に見ていきましょう。
令和7年度の補助金の傾向
- 省力化投資による生産性の向上と賃上げ推進
今年度から始まった「中小企業省力化投資補助金」や「中堅・中小大規模成長投資補助金」といった設備投資を後押しする大型事業の維持または拡張 - ディープテックスタートアップやイノベーションエコシステム等の支援強化
昨年から始まったGX、DX、AI、ロボット、宇宙技術などのディープテックを推進する「スタートアップ支援事業」やものづくり基盤技術を強化する「Go-Tech事業」の強化
一方で
- 中小企業の生産性向上を目的とした従来事業の消極的維持
ものづくり補助金、事業再構築補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金等の事業については予算枠を縮小しつつ継続
振り返ってみれば、令和5年度まではコロナ禍からの復興が中心。目指すは「小規模事業から中堅企業まですべからく生産性向上」でした。
しかし、令和6年度から様子が変わりました。そして、令和7年度の概算要求では、明らかな方向転換が見られます。「100億円企業を目指す中小企業」への支援。すなわち「中堅企業を目指す中小企業」または「ユニコーンを目指すスタートアップ」を対象とした支援です。
補助金ではありませんが、経済産業省が公開している「令和7年度税制改正に関する経済産業省要望のポイント」にある
「中堅企業への成長ポテンシャルが高い売上高が100億円を超える中小企業(100億企業)の創出を推進」
という文言が、この「傾向」を象徴しているような気がします。
本記事は2024/09/02時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
季節の俳句
颱風や守宮は常の壁をまもり (篠原 凰作)
あえて「ヤモリすら日常を維持している」という従来のとらえ方を表す句を選んでみました。確かにほんの数年前までは、一晩やり過ごせば過ぎてゆくのが台風でしたが、近年は過去の季語とは違うものになってしまったようです。
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