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M&A、買い手側のポイント(1)
2024/09/26
コンサルタントの田邊です。8月28日に続き、今回もM&A、今度は「買い手側」について解説します。
前回、「M&A、売り手側のポイント」でお話しした通り、現在は中小企業同士のM&Aが活発に進んでいます。第三者への事業承継型のM&Aだけではありません。コロナ禍の影響を受けて業績が悪化した不採算事業を売却し、コアとなる事業に集中するためのM&Aも増えているようです。
さて、M&Aの「買い手側」の解説は2回に分けてお届けします。第1回目の今回は買い手側のメリットとリスクを明らかにしましょう。
M&A、買い手側のメリット
買い手側のメリットは、以下の3つが挙げられます。
1. 事業の多角化、拡大、強化
新事業への参入や、それに伴う事業の多角化、事業規模の拡大、強化。これらを目的としたM&Aは非常にメリットが大きいです。これらをゼロから始めることを考えてください。設備投資や人材の確保など、大きなコストと時間がかかります。
M&Aではすでに設備や人材がそろっている会社を買収できます。すなわち、低コスト、短期間で事業を展開できるということです。
2. 人材、ノウハウ、資産の獲得
そして大切なのが、優秀な人材や経営のノウハウといった無形の資産。設備や不動産などの有形資産よりも獲得が困難です。設備や不動産は資金さえあれば購入できます。一方、人材やノウハウは地道に築き上げることでしか手に入れることができません。
しかし、すでに人材やノウハウがある企業をM&Aで買収することで、経営資源を手早く獲得できます。
3. 取引先の獲得とシェアの拡大
安定した取引先やリピート顧客の獲得は、簡単にはできません。長年事業を続けて信頼を得てようやく獲得するのです。当然、ゼロから事業を始めて、取引先や顧客を獲得するのは非常に時間がかかります。一方、すでに取引先や顧客を持っている企業をM&Aで買収できれば、その問題を解決できます。
既存の事業を買収することで、スピード感をもってシェアを拡大することが可能です。
買い手側のリスク
一方、M&Aにはリスクも伴います。1. シナジー効果が十分に得られない
M&Aで事業を買収したからといって、必ずしも想定したシナジー効果が得られるとは限りません。自社の事業内容や業務形態が相手の企業とかみ合わない場合もあります。相手の企業が優秀な経営資源を持っていたとしても、しかり。買い手側には相乗効果につながらない要因があれば速やかに解決するという視点が必要です。
2. 経営統合の失敗
M&Aは買収して最終契約を締結すればそれで終わりではありません。むしろスタートであり、その後うまく業務を行っていけるかが重要です。M&Aは業務内容、企業風土が違う2つの会社が協力して事業を行うということ。予期しないさまざまなトラブルが起こることはよくあります。
このようなトラブルを最小限に抑えるため、業務システムや企業風土などのすり合わせが重要です。これが、PMI(Post Merger Integration:ポスト・マージャー・インテグレーション)です。
優秀な企業をM&Aで買収できたとしても、PMIがうまくいかないとM&Aは失敗に終わってしまいます。
3. M&A費用の負担
そして何よりM&Aは企業を買収する行為なので、買い手側は多大な費用が必要です。会社買収にかかる金額は、少なくとも個人事業の小規模な店舗で数百万円程度、中小企業は数千万円程度、中堅規模の会社なら数億円です。また、M&A仲介会社への手数料や、買収する企業を調査するデューデリジェンス費用なども必要。M&Aの買い手としては、多大な費用を負担してでも買収するメリットがあるかどうかを慎重に検討することが重要です。
M&Aのメリットと注意を要するリスクはご理解いただけたでしょうか。次回は、次のステップに進むみなさんに向けて、M&Aにあたっての買い手の準備について解説いたします。
本記事は2024/09/26時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
コンサルタントのひとりごと
先週は地区の野球大会があり、13年ぶりに我がチームが優勝しました!
チームメンバーの多くは私が少年野球の時に所属していたチームのメンバー。大人になってからのゲームは、さながら同窓会で、楽しく汗を流しました。
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