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令和7年度補正予算における補助金の動向

2025/12/24

令和7年度補正予算コンサルタントの淡河です。12月16日、令和7年度補正予算が可決・成立しました。一般会計の歳出額18.3兆円という、コロナ禍以降では最大規模です。

今回は、経済産業省の補正予算と中小企業向けの補助金の動きを見てみましょう。

令和7年度補正予算、増えた?減った?

経済産業省の総額では、複数年で予算化されている基金からの資金4,000億円を加えると3.1兆円です。しかしこれは昨年度の予算、4.9兆円から減少しています。

経済産業省今回の補正予算が増えたのは、ガソリン等暫定税率の廃止や経済安全保障等の危機管理関連予算、果ては防衛費などの増額要素が多く、従来型の予算は逆に圧縮されたようです。

では中小企業向けの補助金の予算も圧縮されたのでしょうか?主な補助金を確認しましょう。経済産業省の「経済産業省関係令和7年度補正予算の事業概要(PR資料)」を参照します。

超大型の「大規模成長投資補助金」

これまでの「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」が「中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」と名称を変えて継続します。

上限額50億円、補助率1/3という他に例を見ない高額補助金です。予算総額は4,121億円。昨年の予算総額3,000億円と比べて大きく伸びています。

経産省予算が減っている中でこの事業への意気込みがわかります。この1年で公募が2回行われていることから、来年以降も同等またはそれ以上の頻度での公募が予想されます。

まずは、3月から4月にかけて5次公募が行われると思われます。

さて本事業、公開されている過去4回の採択結果を見ると2つの特徴があるようです。

上昇する評価基準


評価基準が厳しく1つは、「経営力」「先進性・成長性」など、公開されている5つの評価項目の中央値のほとんどが、回を追うごとに高くなっています。

例えば「経営力」では、採択者の全社年平均売上高成長率が1次公募では10%。これが一直線に増えて4次公募には17%となっています。この流れでは、5次公募は20%に届きそうです。

5年間の売上増加率が平均20%。すなわち5年後の総売上が今年度の2.5倍近くになるということであり、これは大変なことです。採択されるためにはかなり大胆な事業計画が必要です。

競争率の低下

2つ目の特徴は、これと裏腹とも言えますが、競争率が下がっています。4回分の結果を並べると、1次:6.8倍、2次:7.1倍、3次:2.0倍、4次:2.1倍となります。

1次公募の採択率が公開されたのが2次公募の締め切り後であったことから、3次公募の際に事業計画に求められる経営目標がきわめて高いことが分かり、応募控えが増えたと考えられます。

5次公募以降の応募についてはさらに注意点があります。4次公募まで10億円だった投資下限額が、次回以降は20億円(100億宣言企業は15億円)まで増えていることです。

補助金額が大きいだけに応募申請書の作成作業は大変です。評価基準に基づいた採択の可能性への冷静な判断が必要でしょう。

同じく大型の「中小企業成長加速化補助金」


こちらも昨年から始まった上限5億円、補助率1/2の補助金です。それなりに高額ですが、公募回数は年間1回だけと「大規模成長投資補助金」と比べて少ないです。

前回5月の1次公募の際にご紹介した通り、「100億宣言」が応募条件となっています。「100億宣言」については前回ご紹介の記事を参照願います。

引き続き難関の予想

前回の採択結果をみると、競争率は6.1倍とのこと。「大規模成長投資補助金」の1次、2次公募と並ぶ倍率でなかなかの難関でした。

また、応募者数は1270社でした。上限額の規模的には「大規模成長投資補助金」と比べて応募しやすいので、次回もそれほど応募者数は減少しないかもしれません。

ただし、こちらの評価基準も手ごわいです。同様に公開されている各種指標の結果では、採択者の全社年平均売上高成長率の中央値は23.7%と「大規模成長投資補助金」の4次公募よりさらに上をいっています。

応募申請に向けた事業計画の作成には「大規模成長投資補助金」以上に大胆な売上高、付加価値額、給与総額などの指標を作り上げる必要があるようです。

2次公募については、補正予算が成立すれば速やかに開始するとの予告がホームページに掲載されているので間もなく始まると思われます。

もし応募予定で「100億宣言」がこれからという方は、ただちに準備を始めてください。

「ものづくり補助金」の運命は?

前項の「成長加速化補助金」の予算は、「デジタル化・AI導入補助金」、「持続化補助金」、「事業承継・M&A補助金」等と併せた「中小企業生産性革命推進事業」のグループの一つとして確保された3,400億円の予算の一部となっています。

そして「中小企業生産性革命推進事業」全体の予算総額は昨年と全く同じで変わりませんが、内訳は示されていないため「成長加速化補助金」の予算の増減はわかりません。

評価基準が厳しくところで「中小企業生産性革命推進事業」を昨年と比較したところ、事業名に入れ替えがありました。おなじみの「ものづくり補助金」と「IT導入補助金」が消えて、「デジタル化・AI導入補助金」が新たに加わっています

タイトルから考えると、「IT導入補助金」が「ものづくり補助金」を吸収して「デジタル化・AI導入補助金」に一本化したように見えなくもありません。あるいは「ものづくり補助金」が消滅するという可能性もあります。

いずれにしても、2020年の1次公募に始まり、5年間公募が行われたものづくり補助金が、22回にして終了することになります。何社となくご支援してきた弊社としては感慨深いものがあります。

本記事は2025/12/24時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

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