日中貿易摩擦の深層――「政治的対立」と現場で進む「静かなる撤退」 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

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日中貿易摩擦の深層――「政治的対立」と現場で進む「静かなる撤退」

2025/12/11

コンサルタントの南郷です。今回は、趣向を変えて、ビジネスと切り離せない「政治」をコンサルタントの目で見てみます。

中国からの「静かなる撤退」の始まり今、日中対立が激化していると言われていますが、筆者が定期的に訪れる中国現地の空気は、報道される「激突」の景色とは少し異なっています。実は、日本企業の「静かなる撤退」は、今の政治騒動以前から、静かに、しかし確実に始まっていたように感じられます。

現地のコンサルティング会社によると、この撤退の潮流はずいぶん前から続いているようです。むしろ最近では、その動きに中国当局が目を光らせているとのこと。資産の持ち出しや清算手続きに対する監視が、以前にも増して厳しくなっているというのです。

本稿では、政治的発端と経済のリアリズムの両面から、この「温度差」を紐解いてみます。

国会答弁という「引き金」

摩擦の発端は高市首相の強硬な答弁とされています。

しかし、議事録を丁寧に読み解くと、野党の執拗な追及により安全保障の「レッドライン」を明言せざるを得なかった経緯がわかります。

一方で、これまでの総理が似たような追及をかわしてきたことから、高市総理の特異さも見うけられます。

従来の「曖昧戦略」が崩れ、方針が可視化されたことが、結果として中国側を刺激するトリガーとなってしまったようです。

中国が「反発せざるを得ない」事情

中国側の過剰ともとれる反発の裏には、不動産不況などの苦しい国内事情が透けて見えます。

国民の不満を逸らし、求心力を維持するために対外的な「弱腰」を見せられない。そんな習近平指導部のパフォーマンスという側面も強いのではないでしょうか。

データが示す「縮小均衡」

経済の実態もまた、現地の「冷めた空気」を裏付けています。

ジェトロによれば、日中貿易は3年連続で縮小し、アパレル等の生産拠点はすでに他国へと移りました。一方で、中国が代替できない「日本の半導体製造装置」の輸出は急増しています。

「中国が必要なものだけ繋がる」という選別は、すでに終わっていると言えるでしょう。

経営判断としての「デリスク」

企業は「リスク管理」を重視経済を人質にするリスクが常態化した今、企業に必要なのは政治的な同調ではなく、純粋な「リスク管理」です。

代替不可能な市場を除き、サプライチェーンを淡々と分散させていく「デリスク(脱リスク)」こそが、唯一の合理的な防衛策となるはずです。

本記事は2025/12/11時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

コンサルタントのひとりごと

今回の中国の怒りようは相当なものに見受けられます。日本が譲歩しない限り絶対に折れない、という強い意思すら感じます。一方で日本としても、今後の外交を考えれば、ここで引くわけにはいかないのでしょう。対立が長引けば、ビジネスへの影響も長期化してしまいます。良い落としどころがあればいいのですが、今回ばかりは難しいかもしれません。