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条件は難しいが審査基準は明確~「国際共同研究開発」支援

2025/11/20

コンサルタントの淡河です。今回はNEDOによる2025年度「ディープテック・スタートアップ支援基金/国際共同研究開発」をご紹介します。

本基金の事業には、「ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)」やそのGX版もあり、これらはすでに何度か解説してきました。

一方、今回ご紹介の「国際共同研究開発」(以降、「本事業」)は2023年に開始していますが、今回が初めてのご案内です。

本事業は、応募条件の困難さがあるものの、採択実績を見るとDTSUと比べてそれ程大きな違いはないようです。では、その特徴を見てみましょう。

共同研究開発を行う「海外」機関

国際共同研究開発支援まず応募資格から説明します。本事業の応募には、共同研究開発を行う1つ以上の海外研究開発機関とのコンソーシアムを構成する必要があります。

ここで言う「海外」とは、どの国でも良いわけではありません。日本を含む16か国から成るEurekaのGlobalstarsの対象国という条件があります。具体的には補助金の説明ページに示していますので、ご確認ください。

さて、「Eureka」とは、1985年に発足した欧州を中心とする各国の研究開発・イノベーション支援機関の国際的なネットワークです。

そして「Globalstars」は同ネットワークに参加していない国が連携するためのスキームです。詳しくは、こちら(英文)をご参照ください。

コンソーシアム内での「契約」

国際共同研究開発にはCAが必須次に、コンソーシアムのメンバー間では、最終的には共同研究開発契約とも言うべきConsortium Agreement(以下CA)を締結することを求められます。

ただし、応募の際は少し条件が緩くなり、「CA(英文)のドラフトが提出できる」こと。または「専門家の意見を反映した知的財産権の取り扱いを記述した秘密保持契約」でも代用可能です。

海外共同研究開発者の条件

また、相手国側事業者にも条件が課されます。それは、本事業と並行して、同国のイノベーション支援機関(公的支援機関)により、同国のGlobalstarsで支援されるというもの。

すなわち、日本と相手国のすべてのメンバーが、足並みをそろえて各国の支援対象として採択される必要があるのです。

当然ながら、NEDOと相手国の支援機関は全メンバーの応募内容について情報共有を行うでしょう。そのうえで、協議し、それぞれの応募者に対して評価を行うはずなので、国により採択の可否が分かれることはないと考えられます。

さて、ここまで厳しい応募条件を並べてきましたが、続いては「明るい」情報も。

採択率は、他事業に近いレベル

応募条件が厳しいいため「応募できる企業は少ないのでは」という印象がありますね。では、これまでの実績はどうでしょう。

  • 2023年度:応募者件数18、採択件数3(採択率16.7%)
  • 2024年度:応募者件数23、採択件数4(採択率17.4%)

確かに応募者数は少ない。
では、以下の過去2回のDTSUの実績と比較してみます。

【DTSU】
  • 第7回公募:応募者件数82、採択件数18(採択率22.0%)
  • 第8回公募:応募者件数69、採択件数11(採択率15.9%)

いかがでしょう。
DTSUの応募者数は多いがやや減少。一方、本事業は増加傾向です。これを踏まえると、今回の2025年度はあまり遜色がないかもしれません。

また、採択率を見ると確かに難関であるものの、DTSUと同程度です。

明確な審査基準と採点方法

国際共同研究開発は審査が明確また、本事業は審査基準が明確なのが特徴的です。

8つの審査基準がありますが、内容自体は一般的。研究開発の新規性や技術の優位性、事業化・実用化の実現可能性等と、国際共同研究の必要性で6項目。これに2項目の加点項目という構成です。

ユニークなのは各審査基準の配点が明確なこと。加点項目を除く6つの審査基準は、5段階の「評価点」、さらに審査基準ごとに配点の「重み付け」(2.8~4)が明示されています。

評価の際は、「評価点」×「重み付け」で採点されます。最も「重み付け」の大きい「国際共同研究の必要性、有効性」は、その内容により4~20点と大きな差が生まれます。

この仕掛けにより申請書作成の際に重視すべき内容が明確になります。

以上の通り色々と特色がある補助金ですが、海外の連携先との準備が十分できている場合はかなり有利と考えられるので、是非応募してください。

本記事は2025/11/20時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

日おもてにあればはなやか冬紅葉 (日野 草城)

立冬が過ぎても鮮やかな紅葉を冬紅葉というそうです。先日、近くの公園で見た、冬晴れの陽に照らされた楓は見事で、遠くに出かけなくとも観光気分が味わえました。