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2年目の超大型5億円助成事業

2014/01/27

昨年度(平成24年度)に引き続き今年度(平成25年度)も補正予算でNEDOの「1年間で5億円」という超大型助成事業「平成25年度 イノベーション実用化ベンチャー支援事業」の公募が始まっています。
研究開発期間は今年平成26年の5月ごろから平成27年の2月末まで(時間のズレを注意しないと混乱しそうです)。

因みに昨年度の採択結果が公表されているので眺めてみると、応募総数591件に対して1次公開分125件、補欠合格の2次公開分18件の143件であり、ほぼ4件に1件が採択されたことになります。これはこの金額の助成事業としては低い競争率であり、また採択件数自体も大変多いので、管理する側のNEDOも大変でしょう。

もっとも採択されたテーマの助成金がすべて5億円(助成率が2/3なので、研究開発費総額は7億5千万円)というわけではありません。実際、前回のNEDOの総事業予算は100億円だったので、採択件数で割ると1件当たり7千万円弱ということになります。

なにより総費用が7億5千万円の場合、2億5千円は自腹で投資しなければいけないことになるので、それだけの投資が可能な「中小企業」は殆ど無いと思います。私のこれまでの経験では、新商品開発等に使い易い助成金の額は1千~3千万円位ではないかと思います。

仮に1年間で1億円の研究開発費を使い切ろうと思うと結構大変です。かなりの人数が年間を通じてほぼ掛かりきりにならないとやり切れないということもありますが、他にもいくつかの理由があります。

例えば汎用のPCやサーバー、あるいは自動車などは「他の用途で使える」という理由で助成金の対象になりません。また工作機械など高額の生産設備は、後日生産に使いたい場合研究開発期間(本件の場合は約10ヵ月)の減価償却分を引いた残金で買い取らなければなりません。つまり研究開発に使うからと言って何でも買えるわけではないのです。

さらに試作品の一部として購入した機械装置が助成対象として認められた場合でも、購入後5年間は転売等が制約される資産となるというルールがあり、しかも毎年固定資産税を取られるなど、厄介な面もあるので、発注については事業期間終了後の負担についても検討する必要があります。

これらを考慮すると、総研究開発費7.5億円(助成金5億円)の全額を費やすテーマは殆ど無いと考えて良いと思います。実際昨年度の事業でご支援したりご相談を受けたりしたいくつかの計画も総研究開発費は1億円台が中心でした。

公開された資料によると今回NEDOが確保した総事業予算は102億円でほぼ前回並みです。そして平均費用にはあまり変化は無さそうなので、今回も恐らく昨年度と同様140件程度が採択されるのではないでしょうか?

ただ、今回は新規応募者に加えて前回落選組のリベンジ応募や、さらに採択組であっても研究開発レベルを一段高くしての再応募なども考えられるので、競争率・技術レベルともに高くなるのではないかと思います。応募される方は全力で申請書のブラッシュアップに励んでください。

本記事は2014/01/27時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

大寒の 大々とした月夜かな (小林 一茶)

句は一般的に音が重要といわれますが、この句に限って音よりも「大々とした月夜」という文字列が、まさに夜空を見上げた時の凍るような皮膚感覚を思い起こさせます。「大々」は「だいだい」と読むようですが、文字を見ずに音読してもあまり凍てつく感じがしません。