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予算3倍!今、注目のエネルギー開発とは

2014/10/14

10月12日の新聞の第一面に「地熱発電を優先購入―太陽光偏重見直し」という記事がありました。九州などで買い取り制度を目的とした太陽光発電事業の申請が殺到し、不安定な太陽光発電の増加が電力会社の送電に支障をきたす事態が懸念されているという状況を受けた、政府の方針転換のようです。

この制度を導入した菅内閣の頃にはすでにドイツなどで太陽光発電の買い取り制度による電気料金の値上がりが問題となっていて、専門家の間では「周回遅れ」との批判もありました。早晩このような状況になるのは分かっていたのですが、今回はこの制度の悪口がテーマではありません。

11月11日締切で本年度2回目の公募が始まった、NEDOによる「地熱発電技術研究開発」という支援事業のご紹介です。地熱発電など、大学の研究室や大企業以外は関係ないと思われるかもしれませんが、採択結果を見れば初回の昨年度も今年度の第1回も複数の中小企業がしっかり含まれています。

小型発電機や金属防蝕分野の技術に係わる企業であれば、今後の技術開発テーマとして検討する価値はあるかもしれません。というのも、昨年度総額予算4.5億円で行われたこの事業に、今年度は約3倍の14億円の予算が付き、公募回数も年2回に増えているのです。どうやら地熱発電シフトの政府方針が背景にあるようです。

もともと国土面積当りの比率では世界でも温泉が多い日本ですが、2012年時点で0.3%しかない地熱発電の割合を2020年位は1%まで引き上げる方針と新聞には書かれています。1%といえばわずかですが、伸び率でみれば3.3倍であり、政府もその割合で予算を確保すると考えて良いでしょう。

既にこの分野に関わる技術開発を進めている企業でなければ11月11日の締切に間に合わせるのは難しいかもしれませんが、政府が2020年までに予算を3倍に増やすような研究開発分野は稀です。

これまで地熱は扱ってこなかったとしても、対象となる技術のキーワードに含まれている「小型バイナリ―発電」「環境保全対策技術」、即ちスケールの除去や腐食防止等の技術に関わっている企業であれば、来年度以降も予算規模が拡大される可能性のあるこの分野を、次の技術開発テーマとする考え方はあると思います。

興味を持たれた方は是非ご検討ください。

本記事は2014/10/14時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

秋の航 一大紺円盤の中 (中村 草田男)

草田男さんは船に乗られたようですが、私の場合は通勤途中の公園の小山のてっぺんです。台風一過の青空の下、意外な近さで富士山もくっきり。自転車で駆け下りて爽快です。