『課題』とは?
年初に平成22年予算で公募があった「課題解決型医療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援事業」の平成23年度版です。
前回の『コンサルタントの視点』でも紹介しましたが
特徴:
・薬事の事前相談費用が対象となる
・公募事務の外注
応募する側のスキーム:
・「事務管理機関」が必要
・「ものづくり中小企業」の参加が必須
などは全く変わっていませんが、規模が大きくなりました。
前回は上限1億円でしたが期間が1年に限定されていました。
今回は年間8千万円が3年間(総額2億4千万円)となっています。
さて問題です。「課題解決型」の『課題』とはなんなのでしょうか?
公募要領の「事業の目的」には、医療機器は治験などに時間がかかる、命に係わるので製造者責任が重い、医療現場の課題がものづくり現場に届いていない、などの理由で我が国医療機器産業が輸入超過であると述べています。
でも医療の事業に詳しい方は、ここで大きな「?」が浮かぶでしょう。なぜなら例えこの事業に採択されて3年間で2億4千万円の予算が確保できても、開発した医療機器が製品化されて日本中で使われるわけではないからです。
現在の日本では、新しい医療機器が保険点数のつく形で医療の現場で使われるためには、技術開発が終わった後の「治験」という難峰を越えなければなりません。薬の製品化で言われている「ドラッグラグ」と同じ構図が医療機器についても存在するのです(デバイスラグ)。
金額だけで見ても、この事業の予算を使い切った後に、少なくとも数億円、場合によれば何十億円もの費用が必要かもしれません。
そもそも医療機器認可のための治験にお金と時間が掛かり過ぎることが日本の医療技術の最大の課題なので、その前段階で2億円前後の『ハシタ金』だけもらってもあまり効果はないのです。
ここであえて大胆な想像をすれば、「経産省が日本の医療システムの改革を目論んでいるのではないか」ということです。
薬そのものは経産省ではさすがに手を出せませんが、「ものづくり企業が生み出す医療機器」であれば何とか手が届くのではないか?であれば『課題解決型』と名付けた今回の委託事業で採択された優良企業を先頭に立て、『課題』の本丸である医療機器の治験の合理化の突破口を開く!
まあ、当たっていても決してそうだとは言わないでしょうが…。
梅雨晴れ前の妄想でした。
季節の俳句
万緑の中や吾子の歯生え初むる (中村 草田男)
草田男は、あまりにもあっけらかんとして以前はピンとこなかったのですが、最近は外で遊ぶ近所の子供たちの声を聴くだけで嬉しくなるようなこちら側の心境の変化(老化?)もあり、この句の心情もよくわかるようになりました。
-
気軽に補助金のことを確認したい方はメールフォームでお問合せ
問合せメールフォームで -
すぐに補助金のことを相談したい方は無料電話相談申し込み
無料電話相談で