商店街ならではのハードルを越えて助成金申請へ
今回は商店街の活性化を目的とした助成金のご紹介です。
と言っても実は現在、経産省予算だけで小ぶりから超大型の商店街向け助成金事業が3つも公募中であり、さらに都道府県で公募中のものもあって大賑わいなのですが、敢えて金額が400万円と最も小ぶりな助成金事業、平成24年度補正予算による「地域商店街活性化事業 第3次募集」をご紹介します。平成24年度の予算がまだ残っているという事なのですが、恐らくこれが最後でしょう。
(大型事業にご興味ある方は最高上限1.5億円の平成25年度「商店街まちづくり事業 第3次募集」や、同じく最高上限5億円の「地域中小商業支援事業(地域商業再生事業)の第2次募集」を参照願います。)
この助成金事業の特色は、他の事業が高々2/3までの助成なのに、400万円までであれば全額補助するというスキームにあります。即ち400万円までであれば100%補助されるという事です。
企業と異なり、小売店の集合体である商店街にとって残りの1/3をだれが負担するのかが大きな問題であり、その調整に時間が掛かって結局申請に間にあわないという事例をこれまで多く見てきました。
なので、この補助金の第1次の公募があった時は応募が殺到するのではないかと思って見ていたのです。現に1次、2次を通して弊社の近隣の商店街関係者からいくつかの相談も受けました。ところが予想に反して申請までこぎつけた案件は無かったのです。
理由は、公募要領にある「助成対象事業」に書かれた注意書きです。その内容を簡単にまとめれば、
- 事業実施の効果を、歩行者通行量、売上等、その他独自指標の3通りで評価すること
- 上記評価を事業終了後5年間報告すること
この注意書きが負担となる訳は少し解説が必要かもしれません。これまで商店街等が中心となる助成事業は、アーケードの整備等に代表される設備投資の補助、あるいは町興しイベントに代表される単発の集客事業が中心であり、終わった後の完了報告だけ提出できればその後の負担が殆どかからない内容のものが中心でした。
しかし、この事業ではかなり精密な(費用と労力を要する)測定による成果報告が求められることに加えて、その後も5年間同様の精度での報告が求められます。つまり事業期間中の報告に係る経費は助成金で賄えても、その後の5年間の報告に必要な費用と労力をだれが負担するのかというところで行き詰まってしまうのです。
打開策の一つは、事業提案が助成金を使うだけの一過性の内容ではなく、集客や販売促進に結び付ける活動そのものが、歩行者数や商店街の売上等への効果を自動的に計測する機能を備えた仕掛けを構築することです。
SNS等をつかった集客のためのアイデアがあふれる時代となりました。インターネットの利用開発が得意なIT企業と商店街が連携して、スマートフォンでつながる商店街のファンクラブを作るなど、効果測定機能を盛り込んだ地域活性化事業を提案することは、それ程難しくないのではないでしょうか?
思い当たるアイデアをお持ちの方は是非検討してみてください。
季節の俳句
おおいなる ものが過ぎゆく 野分かな (高濱 虚子)
「野分」の印象は野山の木々草木を吹き荒しつつ行く台風ですが、残念ながら昨夜の18号は氾濫した濁流と土砂崩れが記憶に残り、風情から少し遠かったようです。被害にあわれた方々にはお悔やみとお見舞いを申し上げます。
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