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ものづくり補助金2016

2016/02/08

今年も、ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金)の公募が始まりました。

12月22日にお知らせした平成27年度補正予算の速報の通り、補助金上限3,000万円の新型、「高度生産性向上型」が組み込まれ、「小規模型」500万円「一般型」1,000万円と併せて3タイプとなりました。

ものづくり補助金にはすでに過去に応募され、今年が2回目、3回目という方も多いと思いますので、今回は昨年までの公募内容と比較して主な注意点を説明します。

参考:昨年の「ものづくり補助金」

まず、公募要領既の表紙を一枚めくって、目次の上にある囲み記事を見てください。最上部の【募集期間】の文末に「原則、公募は1回限りです。」と大きな字で書かれています。6月中予定の採択発表で1,020億円の予算をすべて使い切ることになったようです。

毎年応募している方はご存知の通り、昨年度は年2回、一昨年度は年3回の公募がありました。複数回の公募があった方が、応募する側にはチャンスが増え、審査する側は負荷が分散されるので両方にとってメリットがあると思うのですが、なぜでしょうか?

思い浮かぶのは7月に予定されている参院選のスケジュールです。補助金が実際に採択者の口座に振り込まれるのは来年になりますが、6月中に総額1,020億円を受け取る予定の採択者が発表されれば、景気の「高揚感」には大きく影響するでしょう。現政権に有利です。

菅さんあたりに聞いてみたいところですが、聞いても「それは下種の勘繰り」といわれるだけでしょうから聞きません。今年はこの1回に賭けるしかありません。

では内容の違いに移りましょう。やはり「高度生産性向上型」の上限3,000万円が目玉です。予告の際にお知らせした「高度生産性向上型」が適用されるためには、IoTへの設備投資が条件とされているのですが、よく見ると少し様子が違います。

公募要領では5頁に、少し日本語としておかしいですが、「IoT等を用いた設備投資」という文言があります。霞が関用語として常に注意が必要な「等」がついています。さらにその下に「IoT等を用いた設備投資」についての解説が、かなり細かい字で書かれています。

そのまま引用すると『「IoT等を用いた設備投資」とは、「IoTを用いた設備投資」「最新モデルを用いた設備投資」のいずれかを指します。』と書かれています。んん?「最新モデルを用いた設備投資」であれば「IoTを用い」ていなくとも良いという意味?

早速、運営者の中小企業中央会に電話しました。回答は「公募要領に書かれた通りです。」とのこと。「最新モデルを用いた設備投資」の説明には、最新型の設備であること以外の条件は書かれておらず、IoTに関する機能の有無について触れていないのです。

思い出したのは初めて革新的サービスがものづくり補助金に登場した平成25年。「革新的サービスの応募資格者は経営革新計画の承認企業のみ」との前情報と異なり「経営革新計画と同等の事業計画」も対象となり、枠が大きく広がりました。

今回も、おそらく経産省の中で「IoTを用いた設備投資」に限ると対象が限定されるという意見があり、最終的に枠拡大派が押し切ったということかと思います。

他にいくつか細かい修正が行われていますが、注意すべきは前回まで条件付きで経費としてといて認められていた「直接人件費」が、すべての型で対象外となったことです。人件費は社外から物品を調達する「買い物」と異なり、唯一損益上の収益となったのですが。

もっとも、これまで弊社が申請のご支援をする場合、直接人件費を計上するより、必要な物品の購入をお勧めしてきました。人件費はもらえる補助金の額と較べて経費として計上する際の管理負担が大きく、採択された側にとって実はあまりうれしくなかったのです。

という訳で今年のチャンスは1回。公募期間も2カ月と昨年から比べて短くなりました。早速準備にかかりましょう。

本記事は2016/02/08時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

つぼみなる梅あたたむる春日かな (川井 智月)

智月は没年1708年とのこと。陽射しをあびる梅のつぼみに寄せる思いは300年を隔てても変わらないようです。