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医療分野、期待される中小企業

2019/11/05

毎回公募中の補助金を中心にご紹介していますが、この時期は今年度の事業がほぼ出尽くし、来年度の公募開始まで少し間がある、いわばハザカイキなので、公募中の事業ではなく、気になっていた医療関連の補助事業を特集します。

ご存知の方も多いと思いますが、2015年に設立したAMED(日本医療研究開発機構)によって、過去に厚生労働省、文部科学省、経済産業省などに分散されていた医療分野の開発予算が、「日本版NIH」として統合されました。

医療開発に関するAMEDの補助金については公募があるたびに断片的にお伝えしてきましたが、今回はAMEDが運営している医療関連の事業の全体像と、その中で中小企業が十分活躍できる開発支援に関する補助金を選んでご紹介します。

まずAMEDという組織についてですが、管轄しているのは内閣府であり、「日本医療研究開発機構・医療情報基盤担当室」が担当しています。理事長は元慶応大学医学部長 末松誠氏、人員は552人と公開されています。

次に予算ですが、実は内閣府の予算ではなく、誕生の経緯から文部科学省、厚生労働省、経産省がその殆どを負担しています。公開されている資料によると、今年度の総額予算1271億円の内、各省の負担額は、順に608億円、474億円、184億円で計1266億円です。

AMEDは日本の医療関連技術の開発を一手に統括していますが、一口に医療関連技術といっても範囲が広く、AMEDとしての分け方では10分野に広がっています。

たとえば医薬品創出、革新的医療技術創出拠点、ゲノム医療などは、分野名を見ただけで莫大な開発費と時間がかかりそうで、中小企業が参加できそうな分野ではありません。ただし、政府も中小企業の技術に期待している「医療機器開発」という分野があります。

この「医療機器開発」については、AMEDの「公募情報」内の分野別一覧のページを見ると、「オールジャパンでの医療機器開発プロジェクト」というくくりで10件の補助事業がリストアップされています(但し統合された事業があり実際は9件)。

その中に中小のものづくり企業やIT系企業が支援の対象となるものがいくつかあるのでごく簡単にご紹介します。尚、内容は2019年度の情報によるもので、来年度については公募情報を確認願います。

  • 先端計測分析技術・機器開発プログラム
    〔要素技術開発タイプ 〕
    目的 将来の医療の革新へとつながる有望な「技術シーズ」を発掘・完成させる
    上限額:2,000万円程度/年、補助率:100%、期間:2年8ヶ月以内)
    〔機器開発タイプ〕
    目的 原理実証を行うプロトタイプ機を開発する
    上限額:5,000万円程度/年、補助率:100%、期間:3年8ヶ月以内)
  • 医工連携事業化推進事業
    目的 中小企業の「ものづくり技術」と医療機関の連携による開発・事業化を支援
    上限額:6,100万円/年、補助率:2/3、期間:3年以内)
  • 開発途上国・新興国等における医療技術等実用化研究事業
    目的 相手国におけるニーズを十分に踏まえた医療機器等の開発
    上限額:初年度 1,150万円程度、2~3年度 2,300万円程度、補助率:100%

以上はいずれも、2020年4月前後が公募期限の補助金となる可能性が高い事業です。特に医工連携事業化推進事業については今年度3回の公募が行われ、来年度も複数回の公募が予想されます。

医療機器関連の開発や医療分野への新規参入に興味がある方は、今から自社に適した事業の有無を吟味されるようお勧めします。

本記事は2019/11/05時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

すべすべの石をよろこび石叩 (大石 悦子)

自宅に近くでよくセキレイを見かけます。一応23区内なのですが、まだ少しだけ畑や雑木林の名残があるためでしょうか?イシタタキの別名の通り、地上にいる間は尾をリズミカルに上下してなかなか愛嬌があります。掲句ではそれを「よろこび」と見ました。