経営革新計画のメリット - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

HOME > コンサルタントの視点 > 経営革新計画のメリット

経営革新計画のメリット

2019/11/18

前回に引き続き、全国区でお勧めできるめぼしい補助金がありませんので、こういう機会にしかご紹介できない「経営革新計画」という仕掛けを説明します。「経営革新計画」とは、ものづくり補助金など多くの補助金で優遇措置を受けるために是非とも活用したい制度のことです。

「中小企業等経営強化法」という法律に基く、強力な中小企業支援施策なのですが、簡単に概要を説明します。

一言でいうと、政府の示す「新たな事業計画」により、「経営の相当程度の向上」という基準を超える経営計画を作成し、都道府県知事の承認を受けた場合、「様々な支援策」が受けられるという仕組みです。といってもお役所言葉でわかり難いですね。

言い換えれば、これまでの事業とは違う新しいチャレンジをすることで、利益も賃金もあがるという計画を、書類にして知事の承認をうければ、補助金での優遇や、融資における信用保証枠の倍増・優遇利率の適用など嬉しいことがあるということです。

「新たな事業計画」や「経営の相当程度の向上」、及び「様々な支援策」などの言葉はその詳細が細かく決められています。内容は「経営革新計画の承認を取得しよう!」のページで解説していますのでご参照ください。

さて、その根拠法である「中小企業等経営強化法」は平成11年に施行されて20年になりますが、「経営革新計画」はその始まりから現在までの20年間ほぼ同様の内容で運営されている、超ロングセラーと言える制度です。

また長く続いているだけでなく、承認取得企業が今でも年々増加傾向を維持しているという、ベストセラーでもあります。

日本の全企業数の99.7%を占める中小企業は、一昔前の大企業の海外シフト、今も尾を引くリーマンショック、ここ数年の経営者高齢化と後継ぎ不足など、年々著しくその環境が変化するにも関わらず、20年間ほぼ内容が変わらない「経営革新計画」は何故生き続けているのか?

理由の一つには、支援策の筆頭である補助金での優遇があると思います。誕生直後から経済産業省の目玉事業では必ず「経営革新計画」が優遇されてきました。現在でも最優先中小企業政策である「ものづくり補助金」「事業承継補助金」の2事業での優遇が行われています。

また、地方自治体に目をやれば、以下の例のように「経営革新計画」の承認がそもそも申請の条件となっている補助金も多数見受けられます。

  • 東京都:革新的サービスの事業化支援事(上限:2000万円、補助率:1/2)
        市場開拓助成事業(上限:300万円、補助率:1/2)
  • 静岡県:経営革新計画促進事業費補助金(上限:200万円、補助率:1/2)
  • 栃木県:小規模事業者経営革新支援補助金(上限:50万円、補助率:2/3)
  • 愛知県:小規模事業者経営革新支援事業費補助金(上限:100万円、補助率:2/3)
  • 山梨県:山梨みらいファンド(上限:50~200万円、補助率:2/3)
  • 沖縄県:中小企業経営革新強化支援事業費補助金(上限:30万 補助率:100%)   他多数
補助金以外にも、融資を受ける際の低金利適用や信用保証協会の債務保証限度額が2倍になるなど資金調達上のメリットもあります。しかしこれまで多く経営革新計画の承認申請をご支援してきた経験から、より単純なメリットもあるように思います。

それは、「このままでは危ない」という危機感や、「何か新しいチャレンジがしたい」という経営者の思いを事業計画の形にする際に、経営革新計画の申請書の様式が結構使えるということです。

しかも作成した申請書が受理されるまで、窓口での専門家による事業計画内容や経営者面談でのアドバイスがかなり強力なので、これまで事業計画などあまり経験がないという人でも、ゴールまでたどり着けると思います。

新たな事業展開にチャレンジしたいと考えている経営者の方は、一度はこの制度の利用を検討されるようお勧めします。

本記事は2019/11/18時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

粥煮ゆる優しき音の冬はじめ (和田 洋子)

心がざわつくニュースが続く中、なんだかほっとする句です。「粥」は夕餉にも朝餉にも解釈できそうですが、窓から見える明け方の薄曇りからこぼれる日差しなどを思い浮かべると、ますます心が和んできます。