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令和2年度ものづくり連携補助金、準備開始

2019/12/16

今回は、令和2年度の当初予算の補助金である「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」(以下、ものづくり連携補助金)についてお伝えします。予想される公募時期は4月から5月なので、かなり早めのご案内ですが、それには以下の理由があります。

補正予算で行われる「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(以下、ものづくり補助金)と混同されがちですが、「ものづくり連携補助金」は今年度から当初予算化され、総額50億円で実施された事業です。

しかし今年度の第1次公募での実績を見ると、件数ベースでは応募数139件、(採択率69%)という結果であり、いわゆるものづくり補助金の1次公募の応募数14,927件(採択率50%)と比較して応募数が1/10以下と極端に少なくなっています。

にもかかわらず、令和2年度の予算要求額は40%増の約70億円であり、さらに10月に公開された情報によれば1者あたりの上限額が2000万円から3000万円に増額されています。この補助金に対する経済産業省の力の入れようは、かなりのものと思われます。

一方で、今年度第1回の応募者数がものづくり補助金のそれと比べて1/10以下であったということは、応募するための条件が難しかったことを示しています。

今年度の「ものづくり連携補助金」では、「企業間データ活用型」および「地域経済牽引型」の2つの事業類型のみでしたが、どちらも単独では応募できず、2者以上の連携体での応募が条件とされたことが、応募数が応募数が少なかった理由かと思われます。

まず、「企業間データ活用型」は、事業者間で受発注や生産管理などのデータ共有を行って製品やサービスを提供する事業計画が要求されます。これは、例えばかなり長い期間に渡る生産工程の一部の外注化など、企業間の協力関係の中で育まれた実績が必要でしょう。

また、「地域経済牽引型」については、地域未来投資促進法に基づく「地域経済牽引事業計画」が事前に承認されていることが応募条件となるので、これも準備に時間がかかります。

「地域経済牽引事業計画」とは地域の複数の事業者が連携して、大企業からの受注に対応する共同受注体制の整備や、試作から量産まで対応可能なワンストップサービスを提供する取組みを、各都道府県知事が承認する仕組みです。

10月公開の経済産業省情報によれば令和2年度は上記の2種類の企業間連携型に加え、1者当たりの上限額が1000万円「サプライチェーン効率化型」、および「地方公共団体連携型」の2つの型が追加されるようです。

これらの型については今のところ内容がよくわかりませんが、「企業間データ活用型」および「地域経済牽引型」については今年度との違いが上限額のみのようなので、公開済みの公募要領が参考になると思います。

たとえば2者が連携すれば、補助金上限額は6000万円、さらに連携体内で配分可能な400万円が加算され、かなりの設備投資が可能です。この投資を来年度中に行うと考えれば、今から事業プランの作成に取り掛かっても遅いくらいかもしれません。

今年度の実績では採択率も高く、もし応募できる企業間連携が作れれば、それだけで大きく一歩、採択に近づくことになりそうです。可能性がある方は是非事業計画の検討を始めてください。

本記事は2019/12/16時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

冬紅葉 冬のひかりをあつめけり (久保田 万太郎)

何のひねりもない、そのまんまの句で、面白味に欠ける気はします。しかし、現に自宅の近くにある紅葉が冬の光に照らされて輝いている光景が、眼のまえに浮かびあがるような描写に惹かれました。