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根強い人気の前払い助成金 新技術開発助成

2020/09/14

今回は、久しぶりに公益財団法人市村清新技術財団による「新技術開発助成」を解説します。

「久しぶり」というのは、この事業の申請方法や内容の変化を毎年ご紹介していた時期があったためで、平成28年にほぼ現在の内容に固まってからは、次の変化を待っているうちにこれだけ時間が経ってしまいました。

という訳で最近はご案内を控えていたのですが、この助成金事業そのものは大変人気があります。
人気の理由は

  1. 助成金額の上限が2400万円、助成率4/5と魅力的
  2. 助成金の支払いが前払い
  3. 政府予算ではないことから助成金対象に消費税が含まれる
  4. 毎年安定して4、10月の2回公募があり、準備に時間がかけられる
といったところでしょうか?

次回10月20日締切の公募は106回目となりますが、平成30年に地球温暖化対策がテーマの一つに加わった以外、平成28年度の内容と大きな変化はありません。そこで、今回は過去4回分の採択案件を材料にこの事業の特長を見ていきます。

まず、この助成金は、特許出願済または特許権取得済の技術であることが応募の条件です。また「実用化を目的にした開発試作」を目的としたものであり、「医薬品およびソフトウエア製品の実用化開発」は対象外と明記されています。

以上のように、公募要領によってすでに技術分野と開発フェーズをかなり明確に特定しているように見えますが、「実用化」についてはどうでしょうか?経済産業省系の補助金などでは多くの場合「事業化」を目的とするものが多く「実用化」はあまり見かけません。

「事業化」というのは、製品化に加えて将来的に事業収益が得られるという意味を含みます。例えば、よく知られた「ものづくり補助金」では、補助事業期間終了後5年先までの事業収支が重要視されます。

一方、「実用化」は、辞書では「実際の生活に役立つこと」などとされていて、その成果の製品化と事業の収益性までを問うところまでは含まれていないようです。

では「新技術開発助成」における「実用化」とはどのような内容になるのでしょうか?

過去2年間4回の公募で採択され、公開された30件の実績から探ってみました。まず採択案件の技術分野を見てみましょう。

プログラム開発は対象外とされているためか、一番多い案件は金属加工や測定技術、新素材開発といったいわゆる基盤技術系で11件、次に病理検査機器、骨補填剤、生体情報モニタのようなバイオ・医療関連の機器や素材が予想外に多く8件でした。

それ以下は環境関連3件、自動車・ロボット、食糧系各2件、その他3件とバラけており、自動車・ロボットなどが少ないのが意外な印象です。

次に採択後の実用化開発が終わった時点で予想される「実用化」の状況を考えて見ます。ただし、公開された情報だけでは事業可能性については判断しようがないので、そのまま売り物になるか?との視点で次の3つのグループに分けて勘定してみました。

助成金による開発が終了した時点で
A) 直ちに使ってもらえるユーザーがいる・・・9件
B) 成果を組込んだ製造方式や測定方式などが確立されればユーザーが見つかる・・・9件
C) その成果を有効利用できる具体的な市場が見つかればユーザーが現れる・・・11件

少なくとも上記のCグループなどでは、事業化の可能性を判断する段階ではなく、どちらかというと基礎研究的な面が多いと感じますが、それでも採択案件としては最も多くなっています。

以上から、この助成金は、経産省系の「経営革新・生産性向上」とは一味違い、技術開発に熱心で、儲けるより自社の技術を世の中に役立たせたいという熱意が高い研究開発志向の企業経営者にはお勧めの助成金と考えます。

本記事は2020/09/14時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

ひとそれぞれ書を読んでゐる良夜かな(山口 青邨)

良夜とは旧暦8月15日なのでまさに今の季節で、「それぞれ書を読む」関係性の安らぎにほっとします。ただ、いまのところ夜はそれほど快適ではなく、空調を止めると汗ばむようでは、今一つ読書に没頭できません。彼岸の頃には快適な気候になってもらいたいものです。

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