事業承継、買い手・売り手、両者を支援
中小企業庁の令和2年度補正予算による「経営資源引継ぎ補助金」の2次公募の公募要領が公開されました。
公募期間は10月1日~24日ですが、この事業、1次公募が8月22日に締め切られたばかりで、わずかひと月での2次公募とは異例です。
もちろん1次公募結果の公表もまだなので、応募状況が分かりませんが、察するにかなり応募数が少なく、予算があまったのではないでしょうか?事実はいずれわかるでしょう。
ところで事業名にある「経営資源引継ぎ」という言葉は「事業承継」を連想しますが、「事業承継補助金」との関連性はどうでしょうか?事業承継補助金のほうは令和元年度補正予算として今年6月5日の期限で公募が行われました。
これら2つの補助金の内容の違いについてはあとで触れますが、中小企業の事業継続を支援するという事業の目的は概ね同じで、なにより2つの補助金の公募要領の目次だけを比べてみれば、大項目の章立ては全くと言って良いほど違いがありません。
これを見ると「事業承継補助金」の内容がリニューアルされて「経営資源引継ぎ補助金」に引継がれたように見えますが、いろいろ探しても中小企業庁からの明確な説明は見つかりません。そこで事務局を確認すると「なるほど」と思える変更がありました。
「経営資源引継ぎ補助金事務局」の母体は5月21日に新たに採択されたデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーという、国際会計基準を採用するグローバル企業なども対象として監査を行うようなハイレベルなコンサルタント機関です。
一方、「事業承継補助金事務局」は、「持続化補助金」で電通への丸投げが問題とされた一般社団法人サービスデザイン推進協議会です。妄想かもしれませんが、問題の事務局担当機関を変更するために、類似の事業を別の機関で立ち上げたという印象を受けます。
最も、応募する立場で考えると以上は単なる「興味を引かれる背景」であり、問題は事業内容です。どうやら1次公募では予算が余っている様子なので、これから応募するつもりで「経営資源引継ぎ補助金」の公募要領を見てみましょう。
「事業承継補助金」との相違点を示します。
- 事業の買い手である「承継者」だけでなく、事業を譲る側の「被承継者」も補助金の対象者となれる。しかも1件の事業承継に関わる両者が、それぞれの立場で応募することも可能。
- 「承継者」と「被承継者」の関係が同族関係者の場合は対象外。即ち親子間での事業承継などでは申請できない。
- 補助事業期間中に事業の引継ぎを完了させるという従来通りの条件での支援を「引継ぎを実現するための支援」とし、同期間中に事業継承に着手(発注)するという条件で支援する「引継ぎを促進するための支援」を追加した。
また、事業実施期間終了日が令和3年1月15日と余裕がなく、すでに事業承継の形態が売り手と買い手の間でおおむね合意されているケースでなければ「引継ぎを実現するための支援」への応募は難しいかもしれません。
基本合意はあるものの、株式譲渡か吸収合併かなどと事業承継の形態をこれから調整するような段階であれば「引継ぎを促進するための支援」への応募が適当かと思われます。
以上の状況を考えれば、1次公募で時間的に間に合わなかった方が再チャレンジするには良い機会ですが、2次公募をきっかけに応募を検討される方は、事業承継のための準備が現在どこまで進んでいるかを慎重に見極めて応募されるようお勧めします。
季節の俳句
頂上や 殊に野菊の吹かれ居り (原 石鼎)
石鼎の代表句の一つです。全体を読み下して初五にもどれば、「頂上や」の一語に一気加勢の山登りと汗、頂の開けた景色や爽やかな風がすべて凝縮しています。長くなってしまった巣籠り生活のためか、晴れた日の山歩きがしたくなりました。
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