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サテライトオフィス支援で大都市脱出
2020/11/09
今回はいつもと少し趣を変えて、地方自治体によるサテライトオフィス開設への支援に関する状況について解説します。ただし、自治体が支援するのは自治体以外に立地する国内企業なので、一応全国版の補助金です。
過去に例がないわけではありませんが、現在、香川県と奈良市が、各々の地域内で新たなサテライトオフィスの開設を支援する県外の企業向けの補助金を公募中です。
コロナ禍の影響で否応なく普及したリモートワークが、その有効性に注目され、通信系やIT系を中心に大企業・中小企業に関わらず、都心のオフィスの縮小と従業員の地域への移住が始まっています。
ニュースによれば、長年途切れることなく続いていた東京への一極集中が、過去3か月は連続で転出超過となり、戦後初めて東京の人口が減ったとのことで、東京から地方の庭の広い戸建て中古民家に家族ごと引っ越した例などが紹介されたりしています。
香川県と奈良市はこの状況を地域復興のチャンスと見て、地元でのサテライトオフィス開設を補助金で後押しする考えのようです。補助金の内容を見てみましょう。
まず香川県の「県内移住による新しい生活様式に対応するためのテレワーク推進支援事業費補助金」。正確を期そうとして長い名前になったと思われますが、そのわりに「県内での移住への支援」とも読めて少々残念。実際は「県外から県内への移住」への支援です。
詳細は補助金の頁を参照願いますが、特徴は
- 現在県外の本社等の勤務者が県内に移転することが条件
- 移転費用も支援対象
- 事業期間が令和3年3月19日までと短期間
次に奈良市の「サテライトオフィス設置推進補助金」。
こちらの特長は
- 業種をIT、クリエイティブ企業(情報通信業、デザイン業、研究所他)に限定
- 事業期間が令和4年3月31日までと長期間
- 現在奈良県内にオフィスがないことが条件
それもあってか補助金上限額は500万円、補助率1/2 となっています。
一方で、デジタル化の推進に舵を切った内閣の方針を受けてか、経済産業省は9月末に提出した令和3年度の概算要求に含まれている「中小企業等のデジタル化の推進」のなかで、「経営のデジタル化」に加えて「人材の地方移動支援」という文言も提示しています。
現在公開されている資料では、大都市から地方の中堅企業への転職の支援等とされていますが、地方にサテライトオフィスを開いて社員の勤務地を大都市から地方に移住させる動きも支援対象となる可能性はあると思います。
仮にそのような事業が行われた場合、現在は香川県や奈良市が自身の予算で行っているサテライトオフィス誘致を国の予算で後押しすることになるので、同様の動きが全国に広がることは確実です。
そのような動きがあれば改めて詳しくお知らせしますが、少なくとも香川県では令和4年3月までという1年半近い期間を用意してサテライトオフィスの開設を待っているので、ご興味ある方は是非ウエブページを覗いてみてください。
本記事は2020/11/09時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
季節の俳句
立冬やときめきこめて旅鞄 (府川 房江)
旅に出る予定はないのですが、何しろ立冬という節気は、紅葉が関東平野から西に向かって広がっていく季節の始まりなので、ときめく気持ちはわかります。昔々に訪ねた京都や出雲のもみじを思い出します。
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