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環境事業の「変」

2020/12/07

今回は7月に『「情報提供依頼」は一次審査?』のタイトルで解説した「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」の公募内容が公開されたのでご紹介します。実は7月に予告が行われた時から比べると、かなりの「異変」が起きています。

この事業は、毎年夏頃にRFI(Request For Information=情報提供依頼)が行われるのですが、年末に行われる本公募の課題がかなり限定された内容であることから、RFIが単なる情報提供依頼ではなく、1次審査に近いとの解釈をお伝えしたのが前回でした。

そして、これまで通り12月4日から公募が始まったわけですが、従来これを「本公募」と称し、年明けにかけて次年度事業として募集が行われてきました。今年度は去る2月28日締切で2020年度本公募が行われています。

以上は復習ですが、「異変」というのはまず年度表記です。今回の本公募に関しては、2020年7月10日から、RFIの公募と同時に公開されており、本事業の予告では、今でも「2021年度の先導研究プログラム」に向けたRFIとなっていて、弊社の解説も2021年度事業と表記しました。

しかし12月4日付で公開されたNEDOの公募内容を見ると「2020年追加」と表記されているのです。なぜ今回に限り「2021年度の本公募」ではなく「2020年度追加公募」なのか?

その理由は後ほど考えるとして、もう一つの「異変」です。今回の公募では公募期間が12月4日から1月13日の第1期と、12月下旬から2月の第2期の2つに分けられているのです。

公開されている第1期の課題は、これまで通りかなり絞り込んだ7つの課題が表示されています。一方第2期の課題については一部が「公募開始時点で掲載」とされていて、今日の時点では全貌が見えない状態です。

これについては考えてもわからないので、NEDOに電話してみました。すると、「菅総理が10月に発表した2050年カーボンニュートラルに関連して課題選定の見直しがあり、確定した課題は第1期に、検討が残る課題については第2期に公開される」とのこと。

確かに2050年カーボンニュートラルという目標は、これまで経済産業省が積み上げてきた研究計画に大きな影響を与えたと思われます。

これまでの検討をまとめた2020年1月21日付けの「革新的環境イノベーション戦略」では、2050年のCO2削減目標を「2010年実績の80%」としており、それがいきなり100%削減に変わってしまったのですから担当部門にとっては大ごとだったでしょう。

それから、先ほど後回しにした「2020年追加」の件です。2014年度から始まった本事業のこれまでのスケジュールと異なり、「2021年度本公募」となるはずの公募が、「2020年度追加公募」に変わったことは前述のとおりです。

理由については推測になりますが、菅総理の2050年カーボンニュートラルを達成するには、7月に公募されたRFIに基づく課題だけでは足りないとの判断があったのかもしれません。

そこで取りあえず募集済のRFIの提案から使えそうなものを選んで「2020年度追加公募」の課題とし、年明け以降に改めて2050年カーボンニュートラルに対応した2021年度の補助金事業を検討していると考えればつじつまが合います。

果たしてこの推測は当たっているでしょうか?当たっていれば2050年のカーボンニュートラルを目指す大型補助金の公募が行われるかもしれません。環境関連技術を得意とされる方はご期待ください。

本記事は2020/12/07時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

暗闇や関東平野に火事一つ (金子 兜太)

季語は「火事」です。調べたところ掲句は1969年の作とか。であれば関東平野が暗黒ということはあり得ません。作者が実際に見た景色ではないと思いますが、読めば容易にその景色が浮かぶのは何故でしょうか?