システム販売会社も使える「ものづくり補助金」
今年度中に予定されていた平成元年度補正予算による「ものづくり補助金」も、【一般型・グローバル展開型】の2月19日の第5次締切が終われば、残るは3月19日締切の【ビジネスモデル構築型】第2次公募のみとなります。本日は、この【ビジネスモデル構築型】について解説いたします。
このタイプ、第1次公募の際はタイミングが合わずご紹介できませんでしたが、内容はこれまでの「ものづくり補助金」とかなり異なります。というより全く別の事業といった方が適切かと思います。
従来型を踏襲する【一般型・グローバル展開型】との違いを挙げれば枚挙に暇がないくらいですが、何より対象が中小企業ではなく、違法性がないなどの条件を満たす「法人」または「法人の共同体」と、とても広くなっています。
ここでいう「法人」の定義には大企業、一般社団法人、第三セクター、特定非営利法人、法人格のある士業事務所、医療関係法人なども含まれます。いわゆる「大企業」の補助率が1/2である点だけが、中小企業2/3との差異となっています。
また上限が1億円という金額も大きいですが、そのためか第1次公募の採択率が18者/356者=5%でした。第1次から3次までの【一般型】の採択率が5割近かったことと比べれば、この数値はほぼ10倍の差であり、極端な難関といえます。
さらに、【ビジネスモデル構築型】で補助対象となる経費に人件費が含まれることも大きな特長です。ものづくり補助金の対象経費は、事業開始以来多くの修正が何度も行われましたが、ごく初期を除いてほとんどの期間で人件費が対象外とされてきたのです。
また応募申請の方法は電子申請システムのjGrantsからの電子申請である点は【一般型・グローバル展開型】と同様ですが、事業計画書は事前に準備した電子ファイルをアップロードするだけであることと、事業計画の内容をまとめたプレゼンテーション動画の提出が必要なことも特徴です。
以上のとおり【ビジネスモデル構築型】はこれまでの「ものづくり補助金」とかなりの違いがありますが、決定的に違う点は公募要領に示された以下の2点です。
- 10か月の事業期間中に中小企業30者以上に対して経営における付加価値額の向上と給与総額、最低賃金を上昇させる3~5年の事業計画を策定する支援プログラムを開発・提供する。
- 事業間終了時に支援プログラムを提供し、事業計画を策定した中小企業が30者未満の場合、補助金は全額支給されない。
即ち、補助事業者自身ではなく、その支援先が提供したプログラムに基づいた事業計画作成までが責任範囲であるということになります。これはかなり重たい縛りかと思います。
実は、上記の第2項について、実績報告書に「30社に提供済」と書かれていても事実かどうかの確認をどうするつもりか疑問に思ったので、確認方法を事務局に問い合わせたのですが、その回答は驚いたことに「30者の支援先に出向きます」とのことでした。
という訳で、支援先の事業計画作成にまで責任が及ぶ【ビジネスモデル構築型】は重すぎて、応募は考え直そうと思われた方もおられるかもしれませんが、もう少し考えてみましょう。
例えば、中小企業が不得手とするDXや海外展開、あるいはAIやロボット導入などの経営革新を支援するためのソフトウェアパッケージを提供するシステム販売をされている事業者にとっては、これは魅力的な補助金ではないでしょうか。
提供予定のソフトウェアパッケージに、事業計画策定ツールを付帯させる、あるいはその機能を埋め込むといった展開が考えられるからです。システム販売を事業とされている方にとってはそれほど難しいことではないと思います。是非ご検討ください。
季節の俳句
朝寝してとり戻したる力あり (稲畑 汀子)
毎年のことですが、年度末から4、5月頃までは政府の年度予算の関係から新規補助金対応と採択案件の年度末検査が重なり週末も休めないことが多いです。
とは言え、この時期でも何かのはずみで半日くらいは寝ていても良い日が1度くらいはあり、そういう時は掲句の通り「とり戻した!」という気分で嬉しいものです。
まぁ、そんなことを喜んでいないで、自身の働き方改革に励まねばならんのでしょうね。
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