中小企業の医療機器開発・事業化を支援
今回はAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)による令和3年度「医工連携イノベーション推進事業」の2次公募をご案内します。AMED事業としては3年ぶりのご紹介となります。
タイミングが合えばご紹介したかった事業なのですが、毎年の公募時期が年初であり、次年度の話題の補助金と重なって、なかなかご案内する機会に恵まれず、実は今年度も1次公募締切が3月31日だったことから、1次公募時にはご紹介できませんでした。
それが、今年度は予算が余ったようで、7月中旬締切の2次公募の予定が公開されました。公募要領は公開前ですが、スケジュール以外は1次公募と同じとみて、2月付1次公募の公募要領をもとに解説します。
日本の医薬品及び医療機器の研究開発における補助金及び委託事業の予算は2015年からAMEDに一元化され、その中の医療機器開発分野を「医療機器・ヘルスケアプロジェクト」としています。
そしてその内のいくつかでは、中小企業のものづくり技術を活用した医療機器開発の支援に取り組んでおり、その代表といえる補助金が今回ご案内する「医工連携イノベーション推進事業」になります。
事業名に「医工連携」が含まれているとおり、企業と医療機関の連携体であることが応募の条件です。
ただし、医療機器の研究開発だけではなく、製品化(上市)を目的とした事業であるため、連携体の中に医療機器製造販売免許を持った企業(製販企業)の参加も必須とされています。
ご存知の方は多いと思いますが、医療機器は届出だけで販売できるクラスI(一般医療機器)から独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認が必要なクラスIV(高度管理医療機器)まで、4つのクラスに分けられています。
特にクラスIII、IVの医療機器を製造販売する場合は、大変厳密な規定に準じた運用が求められることから、中小企業の規模では対応が難しいといわれています。
したがって、ものづくり中小企業が高度な技術開発力を持っていても、内視鏡やカテーテルといった人体へのリスクが高いクラスIII、IVの医療機器が対象であれば、製販免許を持つ大手企業でなければ製造販売を担うことは難しいでしょう。
すなわち、クラスIII、IVの医療機器開発の場合は中小企業、医療機関及び大手の製販企業の3者の連携が必須と考える必要があります。
一方でクラスI、IIであれば、求められる製造販売体制が中小企業であっても対応できる範囲であり、現実に多くの中小企業が免許を保有しているので、その場合は中小企業が製販企業を兼ね、医療機関との2社連携だけで応募が可能となります。
実際にはこの事業ではかなり限定された8つの課題が明示されており(補助金ページ参照)、その課題の解決方法によって対象となる医療機器のクラスが異なってくることになります。
という訳で、今回は医療という特定の分野に関わる事業のご紹介となりましたが、医療機器の開発は政府が力を入れている分野です。このような事業を積極的に使って事業飛躍のきっかけにされては如何でしょうか?
季節の俳句
紫陽花やきのふの誠けふの嘘 (正岡 子規)
人の心の移ろいやすさを紫陽花に例えた、等の解釈が一般的のようですが、初めて見たときの印象は「本当に子規の句?」というものでした。見えたものをズバリと切り取って表現する写生の名手の作とは思えず、妙に湿っぽくて、しかも気持ちが紫陽花から離れているような気がしたのです。まあ、句としては大変面白いですが。
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