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研究開発型ベンチャーに5億円
2022/10/03
今回は、文部科学省予算でJSTが実施するA-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)の内、「実装支援(返済型)」を解説します。
現在A-STEPには他に「トライアウト」「産学共同(育成型)」「産学共同(本格型)」の3つのメニューがありますが、これらの応募者は大学の研究者又は研究者と企業のコンソーシアムとされており、応募者が企業に限定されるのは「実装支援(返済型)」のみです。
「実装支援(返済型)」、昨年もこの時期にご紹介しているのですが、今回、名称が「企業主体(返済型)」から変わりました。前回はこの支援が10年以内に返済する負債であり、返さなくてよい補助金ではないという点を中心に説明しました。
公募要領では、応募者の要件として「本制度はベンチャー企業等を支援対象としております。」と明記されているこの事業について、今回は視点を変えて、応募要件の特長に着目して解説したいと思いますが、その前にごく簡単に前回の復習をしましょう。
- 課題が採択された場合、開発費を上限の5億円(昨年度までは10億円)までJSTが負担する。
- 最長3年の開発期間終了時、評価委員会による「事後評価」が行われる。
- 事後評価が「成功」の場合、開発費は全額、最長10年以内に返済する。
- ただし、事後評価が「失敗」とされれば、実施企業は開発費の10%を返済する。
支援の形に特徴がある他に、この事業に応募する条件にも通常の補助金と異なるいくつあの特徴があります。順番に説明します。
応募期間が令和4年7月29日~令和5年3月31日と長く、随時受付、随時審査である。
*これは締切までに応募した課題を同時に審査する通常の補助金と比べて大変大きな違いです。つまり、応募期間が終了する前に予算を使い切れば公募が終了することになります。逆に言えば現時点ではまだ予算が残っています。応募前に事前の応募相談を行うことが応募条件であり、応募相談から応募が可能となるまで2~3か月必要である。
*これまでも、他の事業に事前相談に応じる補助金はあり、事前相談を受けないと採択されにくいという例はありましたが、少なくとも今のところそれを応募の条件と明記している事業は他にありません。応募企業の経営基盤・財務基盤に対する基準が厳しい。
*まず直近3期の決算期が必要です。さらにその内いずれの期も債務超過ではないこと、また開発費総額の10%に相当する担保または保障の設定が条件など、通常の補助金では決して要求されない条件が付されています。前述のうたい文句を再掲しますが「本制度はベンチャー企業等を支援対象としております。」と言いながら、特にCの要件などで対象から外れるスタートアップは多いかもしれません。創業3期未満であればNEDOなど他を当たってくださいということなのでしょう。
逆に考えれば条件に合う「ベンチャー企業等」にとっては採択の可能性が高いということです。残り期間から考えて、今が応募を試みるタイミングとしては最後の時期ではないかと思います。
本記事は2022/10/03時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
季節の俳句
見えそうな金木犀の香なりけり (津川 絵里子)
木犀の句にそれほど印象に残るものがないのは、その香りの記憶があまりにもはっきりしすぎているせいかもしれないなどと、脈絡もなく考えてしまいます。季節になって最初に出会うあの香りには、それほど人を惹きつけるものがあるように思えます。
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