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中小企業が参画可能な大型事業

2022/10/17

今回はNEDOによる「グリーンイノベーション基金事業」をご紹介します。この事業は2020年10月に菅政権が宣言した「2050年カーボンニュートラル」を実現するために、経済産業省が10年間2兆円の基金を設けてNEDOに託した大型プロジェクトです。

事業の内容を理解していただくための例として現在公募中の「食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発」プロジェクトをご紹介します。締切が10月24日であり、今からの応募が可能な事業でない点はご容赦ください。

このプロジェクトは3つの研究開発項目から構成されており、各項目の予算が13億円~95億円と巨額ですが、それでも他のプロジェクトと比べるとまだ中規模です。

  • 【研究開発項目1】高機能バイオ炭等の供給・利用技術の確立
  • 【研究開発項目2】高層建築物等の木造化に資する等方性大断面部材の開発
  • 【研究開発項目3】ブルーカーボンを推進するための海藻バンク整備技術の開発

見た通り、仮に応募期間が十分であっても中小企業が単独で応募できる事業ではありませんが、これは他のプロジェクトでも同様です。ではなぜ紹介するかといえば、「グリーンイノベーション基金事業」の基本方針の中に、以下の2つの文章が含まれているからです。

「新たな産業を創出する役割等を担う中小企業やベンチャー企業の参画を促す観点から、採択審査においては、これらの企業との効果的な連携の有無についても考慮要因とする。」

「プロジェクト開始後に、実施者が、中小企業やベンチャー企業を効果的に体制に組み込んで、2030年目標の達成に必要不可欠な追加的開発を実施する場合に、プロジェクト予算の一部を機動的に活用する。

実績を見ると、公募が始まった2021年度だけで、すでに10項目の研究開発が採択されいて、2022年度も今回ご紹介する研究開発を含め、6つの公募が行われるという早いペースで予算消費が進んでいます。

ただし、予算的には2021年度中に決定された事業による執行実績は約20億円であり、仮に2030年まで同額で継続されたとしても200億円、つまり総予算2兆円の1%程度であることから、今年度以降公募される研究開発項目はますます増えていくと考えられます。

くり返しますが、この事業には「中小企業やベンチャー企業の参画を促す」意図があり「実施者が、中小企業やベンチャー企業を組み込む場合、プロジェクト予算の一部を機動的に活用する」とされています。

即ち、これまで採択された、あるいは今後公募される研究開発項目の中に、貴社が得意とする技術分野があれば、その技術をもってグリーンイノベーションに貢献できる可能性があると考えられます。

その意味で、少し文章が長くなりますが、2021年度以降公募された研究開発項目を列記します。もし貴社の技術に関連する項目があれば今後の動向をフォローされてはいかがでしょうか?
  • 洋上風力発電の低コスト化
  • 次世代型太陽電池の開発
  • 大規模水素サプライチェーンの構築
  • 再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造
  • 製鉄プロセスにおける水素活用
  • 燃料アンモニアサプライチェーンの構築
  • CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発
  • CO2を用いたコンクリート等製造技術開発
  • 次世代デジタルインフラの構築
  • 次世代航空機の開発
  • CO2等を用いた燃料製造技術開発
  • CO2の分離回収等技術開発
  • 次世代蓄電池・次世代モーターの開発
  • 電動車等省エネ化のための車載コンピューティング・シミュレーション技術の開発
  • スマートモビリティ社会の構築

本記事は2022/10/17時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

燈火親し琥珀の酒を注げばなお (青柳 志解樹)

昼間の喧騒は過ぎ去り、読みかけの本を開いて一人注ぐ酒がどれだけ心を満たすものか、酒好きでなければわからない心境でしょう。良い季節です。