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休眠中の特許の実用化にも使える奨励金

2023/05/22

今年に入って、イノベーション要素を有する研究開発への補助金に的を絞ってご紹介しておりますが、今回は箸休めということで、公益財団法人日本発明振興協会による「発明研究奨励金交付事業」をご案内します。

公式サイトによると、日本発明振興協会は、昭和28年に設立された任意団体「優秀発明振興協会」が母体の、今年で70年目を迎える歴史のある組織であり、その定款には「優秀な発明の育成並びに発明者相互の交流を図り(略)発明について社会及び民衆を覚せいさせること」が目的とされています。

そして「発明研究奨励金交付事業」は「産業の発展に資する中小企業及び発明研究者の発明考案を奨励する目的」により、「発明考案の実施化を援助する」ことを目指しています。

したがって、支援対象は、特許登録もしくは出願・公開済の発明または登録済の実用新案を実用化するための試作・試験費用や調査費などであり、その奨励金として上限100万円まで提供します。

ご注意いただきたいのは一般の補助金では対象とされる、特許申請のための調査費や出願費用、審査費用、海外申請のための代理人費用などはすべて対象外であり、あくまで「実用化のための費用」が支援対象であるという点です。

さらに、応募要領では特許公開や実用新案登録の時期については触れていないので、有効期限20年の特許も、同じく10年である実用新案も、期限内であれば対象になるようです。例えば、10年前に特許公開したものの、試作品の製作費が不足して放置していた特許でも対象になるということです。

もう一つお伝えしたい点は、もしそのような特許等があれば、この事業への応募は大変簡単であるという点です。なぜなら、申請書類の内容を見たところ、書き起こさなければいけない項目は「発明・考案の技術的成果及び社会的効果」と「奨励金を使って行う試作・研究」の2項目のみなのです。

つまり、申請用紙に記載する概ね7割ほどの部分は発明内容の説明であることから、特許や実用新案の出願時に作成した文章や図が再利用できるので、補助金の申請と比べて負担が少ないと考えられます。

研究開発部門を持つ企業や、個人であっても発明が趣味で特許等を継続して申請している方などは、おそらく登録したものの、そのまま寝かしてある特許などを複数お持ちでしょう。今回の奨励金交付事業を機会に、一度掘り起こされてみてはいかがでしょうか?

本記事は2023/05/22時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

海からの風山からの風薫る (鷹羽 狩行)

なんとも広々とした景色ですね。ゴールデンウイークと梅雨に挟まれた、つまり日本で最も気持ちの良い季節に、遠くに広がる山々と海が見渡せる絶好のポイントに立っている気分です。机に向かっていないで出かけたくなります。