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海外市場展開を目指すスタートアップへの支援

2023/07/03

4月に2回に分けてご紹介した「ディープテック・スタートアップ支援事業」には事業の前に基金名前が付いていて、フルネームを記載すると「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業」という長い名称になります。

この事業は4月にご案内した通り今年度中に4回の公募があり、現在第2回の公募が行われていますが、今回ご紹介するのは同じディープテック・スタートアップ支援基金で行われる「国際共同研究開発」の予告です。

というわけで事業名の説明だけでもかなりの文字数が必要な補助金ですが、注目すべきは予告されている公募時期です。なんと公募期間は2023年10月23日から2024年1月31日とされており、締切は今から数えるとほぼ7か月後です。

支援対象は、海外市場への展開を目的として海外の事業者との共同研究開発を希望するディープテック・スタートアップとされており、応募に当たっては、共同研究開発の相手国側企業を特定の上、提案内容について事前に相手国側企業との調整を済ませていることが求められています。

なるほど、このような事前調整が必要であれば、他の事業のように公募期間1.5か月、予告がそのひと月前などという準備期間では間に合いません。そして支援については、NEDOが対象とするのは日本国内から申請した企業のみで、海外にいる連携先への支援はその国の公的機関が行う「コファンド形式」となります。

このような支援者側の連携ができている国は当然限りがあるため、今回の対象国はカナダ、チェコ共和国、フランス共和国、スペイン王国、英国の5か国に限られます。近々対象国はもう少し追加されるようですが、それでも決して多いとは言えないでしょう。

そしてNEDOもこれらの国々の公的機関と連携して研究開発の支援を行う以上、標準化された手順を提供するスキームが必要ですが、本事業についてはそれがEUREKA Globalstarsと呼ばれるスキームになります。

NEDOの解説によると、まずEUREKAとは、1985年に発足した欧州を中心とする各国の研究開発・イノベーション支援機関の国際的なネットワークであり、48か国及びEUが加盟していますが、日本は加盟国ではありません。

そしてEUREKA Globalstarsとは日本のようなEUREKA加盟国以外の国が、複数のEUREKA加盟国との共同公募を実施することができるEUREKAの公募スキームであり、NEDOは2020年からこのスキームに参加しているとのこと。

ただし、このスキームを使った事業をNEDOのホームページで検索すると、2021年1月に公募された「国際研究開発/コファンド事業」(日本側企業の補助金上限額1億円、補助率2/3)が最後のようです。

当時は、応募の際に日本語で作成した申請書をe-Radから申請する他に、EUREKA Project Application Form という指定様式で申請書を作成し、EUREKA指定のウェブサイトからオンラインで入力・提出する必要があったようです。

具体的には日本側または相手国側の代表提案者のいずれかがコンソーシアムを代表して作成したEUREKA Project Application Formとともに相手国側企業との共同研究契約書(コンソーシアムアグリーメント)のドラフトをオンライン提出することが求められました。

今回の「国際共同研究開発」の応募方法が2021年の「国際研究開発/コファンド事業」と同じかどうかは公募要領が公開されるまでわかりませんが、おそらくEUREKA Project Application Formの作成は必須と思われるので、このフォームの最新版を確認しておいたほうが良いと思います。

本記事は2023/07/03時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

茎右往左往菓子器のさくらんぼ (高浜 虚子)

初めてこの句を見たとき、実際のさくらんぼの動きを字面や句またがりを駆使して表現したテクニックに感心しました。今年はさくらんぼが豊作のようで、近くのスーパーに手ごろな値段の佐藤錦がたくさん出回っていて、頂くたびにこの句を思い出します。