自治体が取り組む創業者支援 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

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自治体が取り組む創業者支援

2023/11/14

今回は、個別の補助金ではなく、日ごろからお問い合わせの多い創業者向けの、あるいは創業者も使える補助金について、お役に立つ情報をお届けします。

弊社がご提供している無料電話相談とメール問合せサービスは日々ご利用いただいておりますが、その内概ね5件に1件は「創業する予定(またはしたばかり)ですが、使える補助金はありますか?」とのご質問です。

そのようなお問い合わせに対していつも最初に「ご本社の所在地はどちらですか?」とお聞きします。なぜなら、昨今は創業を支援する補助金を各都道府県が担っているからです。

実は2017年頃まで中小企業基盤機構が全国区で行っていた「創業補助金」という事業があったのですが、その数年前に始まったものづくり補助金の対象範囲が広がるに伴い終了し、創業者の支援事業は各自治体が行う形に変わっていきました。

過去の「創業補助金」は上限額が200万円~700万円で、店舗借入費から人件費、販売促進費まで幅広い経費を対象とした使いやすい補助金だったのですが、現在自治体が提供している創業者向け補助金も多かれ少なかれその特徴は残っているようです。

ところで、自治体が行っているといっても全国47の都道府県のすべてが創業支援のための補助金メニューを提供しているわけではありません。またその内容についても各自治体が主体となって企画しているため、地域により支援内容や上限額が異なります。

そのため、創業者向け支援事業に関しては、その所在地からお調べしています。

一方で、国はこれまでのいわゆる「創業補助金」から撤退したわけではありません。自治体向けの「基金」という形で支援を行っています。

「地域中小企業応援ファンド(スタートアップ応援型)」という名称の中小企業基盤整備機構(以下、「中小機構」)が経済産業省の基金を使って行う事業です。この基金は創業者や中小企業に直接補助金を提供するのではなく、創業補助金で企業に支援する都道府県を資金的に援助する形をとっています。

ただし、国の資金援助を受けてそのような支援を行うか否かの判断は自治体にゆだねられているため、47都道府県がすべてこの方式による支援を行っているわけではありません。中小機構が発行しているパンフレット「地域中小企業応援ファンド一覧」によれば、令和5年度にこの基金を利用している自治体は31道県です。

また、このファンドを利用しなくとも、東京都のように「創業助成事業」という独自の補助金を長年継続して行っている自治体もあります。

さらに、補助金という形では支援を行っていない自治体もあるため、中小機構のパンフレットに記載がない自治体については個別の自治体ウェブサイトを調べる必要があります。

というわけで、東京都に拠点がある方は「創業助成事業」をご検討ください。また東京以外を拠点にされている方は、まずは「地域中小企業応援ファンド一覧」の2、3頁に示されている日本地図と連絡先一覧で、「地域中小企業応援ファンド」を行っている地域かどうかを確認することをおすすめします。

本記事は2023/11/14時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

立冬のことに草木のかがやける (沢木 欣一)

今年は秋を飛ばして冬が来てしまいましたが、あわてて押し入れから出した冬物の部屋着にくるまって窓から覗く景色は、それでも冬のたたずまいです。薄曇りの空に少し青空が見える部分があり、掲句の草木を輝かす光はそのようなわずかな青空から届いた光のような気がします。