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ロボット介護機器・システムの開発&海外展開を支援
2024/01/30
今回ご紹介するのはAMEDによる令和6年度ロボット介護機器開発等推進事業(開発補助・海外展開)です。支援対象が限定的ですが、そこそこ歴史のある事業です。
介護と自立を支援するロボット介護機器開発
2013年当時、医療機器開発に対する支援事業の一端を担っていた経済産業省が、ロボット介護機器安全基準等の開発や標準化を進めた経緯があります。その目的は、ロボット介護機器の開発を支援して、介護現場の生産性向上や介護の質の向上、自立支援等による高齢者の生活の質の維持・向上を図ることでした。
その後このテーマは2015年に設立されたAMEDに引き継がれ、ガイダンスやマニュアル等の環境整備を経て2018年から補助金の形で継続されています。
応募者は介護現場との連携が必須
この補助金への応募資格は、「日本国内に開発拠点を有する企業」とされ、中小企業だけでなく大企業でも応募が可能です。ただし補助率については中小企業2/3,大企業1/3と差がつけられています。AMEDの医療機器等の開発支援は医療機関等の連携が条件となることが多いのですが、この事業は珍しく介護施設等の現場との連携などが求められておらず、企業単独としての応募が可能です。
ただし、審査項目の中に「実施体制」の項目があり、「ロボット介護機器の導入に伴う介護オペレーション等の変更検討を実施できる体制を重要視」するとされているので、介護現場と切りはなされた体制では採択は難しいでしょう。
応募者自身が介護サービスの現場を有するか、外部の介護施設と連携するなどの体制を有していることが必要となります。
支援対象は「介護技術」と「コミュニケーション」を担う機器やシステム
今回の公募では対象課題が大きく分野1と分野2に分けられており、上限額は分野1では開発補助のみで2,000万円/年、海外展開を含める場合2,600万円/年、分野2では同じく4,000万円/年、4,600万円/年となっています。開発期間はともに2026年度末までの3年間なので、分野1では最高7,800万円、分野2では1億3800万円と、どちらもかなりの高額補助金です。
そして分野1では9項目の課題が列記されていますが、少しまとめると被介護者のベッドと車椅子との間の乗り換え等を支援する「移乗介助」、移動を支援する「移動支援」、及び「排泄支援」と「入浴支援」の4種類9項目の介助・支援を対象にしています。
また分野2では施設内や在宅での見守りやコミュニケーションを支援する「見守り・コミュニケーション」及び介護者の業務を支援する「介護業務支援」の2種類4項目が挙げられています。
※画像クリックで「ロボット技術の介護利用における重点分野」の定義を表示(出典:AMED)
ロボット介護機器の開発と実証が目標
事業計画は、事業期間中のロボット介護機器の開発に加え、想定された介護現場の使用環境における、使用者を対象とした実証試験が完了していることが求められます。また開発期間が2026年度末までの3年間である場合、2025年12月に中間目標を設定し、その達成度を評価するステージゲートが設けられているので、最終目標に至る具体的なロードマップが必要となります。
高齢化先進国である日本での需要にこたえる優良なロボット介護機器の開発は、今後の世界市場でも有利な位置を確保できると思います。
本記事は2024/01/30時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
季節の俳句
早梅や日はありながら風の中 (原 石鼎)
先週、通勤路で白梅が咲いているのを見つけました。しかもほぼ満開です。自転車なのであっという間に通り過ぎましたが、大寒の冷気の中で目にした梅は印象に残りました。掲句にある「風」も、もちろん寒風でしょう。
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