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公募中のGo-Tech事業、その特徴は

2024/02/27

中小企業庁による産学連携の研究開発支援事業、「成長型中小企業等研究開発支援事業」(以下、Go-Tech事業)の2024年度の公募が始まっています。締切は4月16日です。

この「Go-Tech事業」が開始したのは3年前ですが、前身の「サポイン事業」は2007年度開始。「中小企業のものづくり基盤技術及びサービスの高度化の支援」というコンセプトは当初から一貫しています。本事業は、経済産業省の中でも歴史のある事業です。

ところで過去の2年間は年2回公募が行われたのですが、2024年度は今回のみとのこと。そこで、改めてこの事業の特徴をまとめ、さらに応募体制のポイントである「事業管理機関」について解説します。

Go-Tech事業の特長

まず、Go-Tech事業は産学連携が基本です。これに加えて次のような特徴があります。詳細については各項目の弊社サイトの参照ページをご確認ください。

  1. 年度間の研究経費配分が柔軟
    研究開発費の決め方が年度の最高額と総額で規定される。そのため、事業期間が複数年の場合、年ごとの研究開発費に高低をつけることができて使い勝手が良い
    (参照:コンサルタントの視点「開発経費の年度間配分が柔軟な産学連携支援事業」
  2. 通常枠と出資獲得枠の2種の枠構成
    出資獲得枠はファンドからの出資が条件。補助金上限額の総額が通常枠と比べて最大で3倍以上の3億円となる他、ファンドの参加で事業化が加速されるなどの利点がある。
    (参照:コンサルタントの視点「Go-Tech事業の大型枠「出資獲得枠」とは」

    ただし、過去2年間では応募総件数が16件、採択総件数も2年間で1件と難関。
    一方の通常枠は同期間で応募総数は553件、採択総件数は207件。
  3. 申請時の予算配分が複雑
    A機関、B機関と定義される大学・公設試やTLOなどが事業管理機関となるかどうかで補助率が違う。また、採択審査の成績による補助率の優遇など補助率の仕組みが非常に複雑。このため、申請書作成時の連携体間の予算配分が容易ではない。
    (参照:「令和6年度 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」

事業管理機関の役割

上記項目3.の事業管理機関は「補助事業者」の位置付けです。したがって、研究開計画に必要な連携体全体の経費を管理し、各年度の事業完了後に清算する役割を担います。

この事業管理機関を前出のA機関・B機関で定義される中小企業以外の公的機関が引き請けた場合、連携先である大学等の研究機関の費用は100%補填されます。

一方、研究開発の主体である中小企業自らがこれを担当することも可能です。この場合、連携する大学等の研究開発機関の補助率は2/3となり、残りの1/3の費用は事業管理機関である中小企業の負担となります。

もちろん、費用面のみならず、事業管理機関としての事務管理等の業務面の負担もあります。

事業管理機関の探し方

つまり、中小企業としては事業管理機関として公的機関が連携体に加わってもらい、費用面、業務面での負担を軽減したい。では、そのような機関につてがない場合、どのように探せばよいのか?
Go-Techのウェブサイトにも事業管理機関の検索ツールがありますが、データが少々古いので最新情報を得るための簡単な方法を2つご紹介します。

まずは過去に事業管理機関を担った実績のある機関に問い合わせましょう。実績については中小企業庁のウェブサイトで採択者リストとして公開されています。

(参考:中小企業庁「令和5年度 成長型中小企業等研究開発支援事業(第2回) 採択案件一覧(通常枠)

もう一つの方法は、各都道府県に少なくとも一つは存在する産業支援機関に問い合わせることです。
検索エンジンで次のようなキーワードで探すとだいたいヒットします。各機関のウェブサイトで該当しそうな部門を見つけてコンタクトしてください。

(XXはあなたの会社がある都道府県名)

(検索結果の例:公益財団法人三重県産業支援センター、公益財団法人富山県新世紀産業機構、…)

公募の締切は4月16日です。まだ間に合います。今から該当機関を確認してお願いしてみてください。

本記事は2024/02/27時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

木の間とぶ雲の速さや春浅き (三好 達治)

他の季節に比べて春の季語には明るい光が内包されているものが多いような気がします。春の海、山笑うなどが典型でしょうか。掲句にある雲も雨雲ではなく、春の日差しは輝いている印象です。「春浅き」の効果でしょう。