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2,400万円の前払い助成金

2024/03/12

4月20日締切の公益財団法人市村清新技術財団による中小向け支援事業、「第113回新技術開発助成」をご案内します。大変人気のある助成金ですが、2年前の本サイトでのご案内から驚くほど内容が変わっていません。

新技術開発助成は8年前に助成上限額などの大きな変更があって以降、5年前に対象分野が増えた以外に変更なし。毎回のようにマイナーチェンジがあるものづくり補助金に代表される経済産業省系の補助金とは大違いです。

新技術開発助成の特徴

この「変更なし」により、年2回確実に行われる公募への準備がしやすい。これが人気要因の一つです。

では、本事業の特徴を改めて整理しましょう。
    1. 助成金額の上限が2,400万円、助成率4/5と魅力的
    2. 助成金の支払いが前払い
    3. 政府予算ではないことから助成対象に消費税が含まれる
    4. 毎年安定して4、10月の2回公募があり、準備に時間がかけられる

なお、本事業はこれまでにも本サイトで何度かご紹介し、ポイントを解説しています。

特に前回の記事で解説した7項目の「開発技術の要件」は審査に合格するために重要なので改めてご確認ください。

郵送での申請が続く

さて、変わらないもう一つのものが申請方法。申請書の提出方法として印刷した紙で行うという近年では珍しい形態です。

本事業サイトには「申請方法」が以下の手順で説明されています。
  • マイページの取得
  • 申請書類「基本情報」入力
  • 申請書フォーマットのダウンロードおよび入力
  • 申請書類アップロード

うっかりすると申請書類のアップロードで完了かと勘違いしそうですが、続きがあります。
  • アップロードした申請書類の印刷
  • 郵送
ここまでで申請が完了です。

最近の電子申請に慣れている人はかえって戸惑うかもしれません。なお、郵送は消印有効です。4月20日必着ではなく、同日24時までに郵便局から差し出しできれば受理されます。

助成の実績

また、本事業サイトは採択課題の実績情報が充実しています。

他のほとんどの補助金は課題名と企業名が公開される程度です。一方、本事業は2021年以降の全採択事業が課題ごとに紹介されています。内容も図を含む「技術開発内容」の概要でかなり詳しいものです。

事業サイトの「助成の実績」で課題の「テーマタイトル」を見れば対象技術分野が推測できます。応募する場合は分野が近そうなレポートを確認されると良いでしょう。

このほかの記事も充実しています。助成事業後3年程度で財団が事業化の「完了認定」を行った企業の「完了認定企業の紹介」。また、それら企業から毎年1社選出して訪問した際の「訪問ルポ」。

応募される際は、是非これらの情報を有効利用して、「採択される申請書」の作成を目指してください。

本記事は2024/03/12時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

原発の桜並木は無観客 (位田(いんでん)仁美[黒田杏子 選])

10年目の2021年に東京新聞が募集した3.11「平和の俳句」より。今年も変わらず。合掌。