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東京都内での創業前から創業5年未満対象の小ぶりな助成金

2024/06/18

【東京都】令和6年度 第2回 創業助成事業コンサルタントの田邊です。前回に続き地域限定の話で恐縮ですが、東京都中小企業振興公社による令和6年度 第2回 創業助成事業をご紹介いたします。

経営経験が5年未満の個人、法人が対象。昨年度から100万円上乗せされた助成上限額は400万円、助成率は2/3です。

ただし、5年以上の経営経験がある事業者は対象外で、雇われ社長であっても対象外。また、個人開業医の方も申請ができないのでご注意ください。

創業助成事業ならではの幅が広い対象経費

助成対象となる経費は以下のものです。
  • 事業費:賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、 専門家指導費
  • 人件費:従業員人件費
  • 委託費:市場調査・分析費

金額の制限があるものの、創業支援以外では対象とならないパソコンやエアコンも対象です。また、従業員に対する人件費なども含まれており、使い勝手が良い助成金です。

「創業支援事業」の活用が要件

手厚い助成金ですが、今回は締切が10月4日の第2回公募。平成28年以外は毎年2回公募のため、今年の申請はこれが最後になりそうです。

10月の締切まで時間がありそうですが、要件として創業支援事業を利用し、申請の際には証明書等の提出が求められます。これがなかなか曲者なのです。

この創業支援事業として認可されているものは18項目ありますが、よくみると融資も含まれます。東京都中小企業制度融資(創業融資)や、創業者を対象とした東京信用保証協会の保証付き制度融資を利用していても要件はクリアできます。

仮に融資を利用する場合、必要書類や、計画書の作成から融資の実行までに1~2か月はかかります。となると、10月締切とはいえ、申請期限まではあまり時間がありません。前倒しで準備を進めていきましょう。

「狭き門」突破のポイント

ところで、この助成金は、東京都内での開業率の向上を図ることを目標としています。そのため、上述のように都内で創業予定の個人や創業5年未満の中小企業者等が対象です。

上限額400万円の小ぶりな助成金ですが、なかなか狭き門のようです。下記の過去の申請者・採択者数を見てください。

年度H29H30H31 (R1)R2R3R4R5
申請者数8636008081,0371,1401,2101,060
採択者数115151152156157162157
採択率13.3%25.2%18.8%15.0%13.8%13.4%14.8%

採択率は高い時で25.2%。ですが、概ね14%前後となっています。

さて、この狭き門をどう突破していくか。

【東京都】令和6年度 第2回 創業助成事業本助成金の審査には、8項目の採点指標となる「視点」があります。

その中でも重要なのが、なぜ今個人で開業または法人を設立し、あなたがこの事業をやるかということを説明できるかです。

過去の採択事例を見ても前職の経験からの課題に取り組む事業者が多く採択されています。逆に、これから開発する製品や、提供するサービスが今までの経験と全く関連がない場合、本助成金の獲得は難しいでしょう。

そして、これから開始する事業の社会へのインパクト競合との差別化と優位性を文章化することが重要です。

更に、本助成金は書類審査と、面接審査があります。

うまく計画書が作れても面接での審査で審査員に伝わらないと採択を勝ち取ることはできません。実現可能性の高さをPRすべく面接審査に向けてもリハーサルを行い、入念に準備してください。

上記のように、狭き門での採択を勝ち取るためには、しっかりとした事前準備は必須。とはいえ、創業時にはかなり助かる助成金です。これを機に今後の事業計画を練り上げ、市場、競合を改めて分析をする手段としても挑戦する価値があるでしょう。

本記事は2024/06/18時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

コンサルタントのひとりごと

最後にまたまた野球ネタで恐縮ですが、

私は、ヤクルトスワローズのファンなのですが、ケガで苦しんでいた奥川投手が先日980日ぶりの勝利を挙げました!
そのヒーローインタビューを見て1,000日ぶりぐらいに涙を流しました。