新規参入歓迎!量子コンピュータ開発に優勝賞金2,000万円以上 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

HOME > コンサルタントの視点 > 新規参入歓迎!量子コンピュータ開発に優勝賞金2,000万円以上

新規参入歓迎!量子コンピュータ開発に優勝賞金2,000万円以上

2024/11/07

コンサルタントの淡河です。NEDOが面白い事業を始めたのでご紹介します。「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」。例によって事業名が長い。

「量子コンピュータ」といえど

「懸賞金」というワードはもとより、「量子コンピュータ」が目につきます。これを見ただけで「自分とは関係ない」と誤解してしまう人がいるかもしれません。

確かに技術分野としての「量子コンピュータ」に関わっている専門家は多くありません。しかし、事業の内容を考えるとこの言葉をタイトルに使ったのはあまり適切ではない気がします。

何故かといえば、「応募資格」としてこんな一文が示されているからです。

「専門知識や業界を問わず、(略)自由で創造的な発想を持つ皆さまが、革新的なアプローチで課題解決に挑戦する場を提供いたします。」

「量子コンピュータ」のタイトルにしてこの「資格」は、矛盾した印象を受けますね。

応募資格の文章は、ある意味、とらえどころのない表現です。しかし、他の説明を読み進めると、やはりこの事業は量子コンピュータの専門家による開発だけが対象ではないようです。以下のような立場の企業も対象としています。

  1. 新規の事業課題を抱えており、それを解決する革新的なアプローチを探している。
  2. 自社の新たな事業領域として量子技術を取り込みたい。
  3. 量子ソフトウェア領域に参入するための教育を受けたい。

特徴的な3段階の事業構成

この事業は少し変わっており、大きく3つの段階に分かれています。
量子コンピュータ研究開発支援
  • 第1段階:課題提案、教育プログラム
  • 第2段階:研究者の選出
  • 第3段階:研究開発
では、ひとつずつ見ていきましょう。

第1段階

現在行われている12月13日締切の公募は第1段階であり、その対象は、研究開発や事業化計画ではなく「課題の提案」「教育プログラムへの応募」です。

「課題の提案」については、

  • Society5.0:仮想空間と現実空間の融合
  • QoL:生活の質の向上
  • Cool Japan:日本のソフトパワーの強化
という特徴のある3領域が設定されています。

そして、提案された課題については、NEDOの課題WGによる2025年3月末までの協議の結果、コンテストとしての課題が決定・公開されます。

また量子ソフトウェア領域の「教育プログラム」は、新たに量子技術分野に参入するための人材育成を希望する応募者から選出されます。合格者は2025年1月~4月の期間で教育を受けることになります。

第2段階

第2段階は、研究者の選出です。2025年4月~5月に、公開された課題を解決するための量子コンピュータでの研究開発計画を提案した応募者から選出されます。

この公募に参加できるのは、量子コンピュータの専門家だけではありません。「教育プログラム」で教育を受けた新規参入希望者も含まれるというのが面白い点です。

第3段階


最後の第3段階は、第2段階で採択された研究者が行う約1年間の研究開発です。その成果が2026年5月~7月頃に発表される予定です。

「懸賞金」の行方は?

量子コンピュータ研究開発に懸賞金ところで「懸賞金」は一体に何に対して支払われるのか?おかしなことに現時点で公開されている情報は「総額約2億円、優勝賞金2,000万円以上」以外には示されていないのです。

思うに、2025年4月に示された課題を解決する研究開発を行った研究開発者に対して、成果に応じた賞金が支払われると考えるのが妥当かと。

では第1段階で選出された課題の提案者にも何らかの賞金が支払われるのでしょうか?今のところ明記はありません。しかし、「課題応募申請書」をよく見ると、想定されている課題提案者の位置付けが見えてきます。

キーワードは「事業化」「提案者からのデータ提供」「共同開発」「提案者が持つ知見」などです。

これらをつなぎ合わせると、想定されている課題提供者は、第3段階の研究開発で量子技術の専門家と連携し、課題解決に取り組むコンソーシアムのメンバーといったところでしょうか?

「それならば応募したい」と考える方がいらっしゃるのではないでしょうか?その場合はぜひ11月19日の事業説明会に参加してみてください。

本記事は2024/11/07時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

よろこべばしきりに落つる木の実かな (富安 風生)

楽しい句です。喜んでいるのは木の実か自分か、それとも季節か。枝の間から見上げた空はきっと秋晴れです。