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中小企業・スタートアップ支援の「SBIR制度」とは
2024/11/19
コンサルタントの淡河です。少数与党という衆議院の環境で政府の動きが鈍ったためか、来年度の補助金の情報が出てきません。
そこで今回は、個別の補助金のご紹介ではなく、多省庁に渡る補助金のバックボーンとなっているSBIR(Small/Startup Business Innovation Research)という制度をご説明します。
日本版SBIR制度とは
当社でご案内している経済産業省を中心にした中小企業向け補助金。その多くは、このSBIR制度に基づいた事業です。SBIRという用語は米国で生まれました。これを参考に1991年に当時の通商産業省、現経済産業省が、国内の中小企業を強化育成する手段として「中小企業等経営強化法」を法制化。同法に基づき「日本版SBIR制度」という呼称で日本のSBIRは始まりました。
スタートアップも積極的に支援
発足当時のSBIRのSBはSmall Businessのみ、つまり対象は中小企業のみでした。その後、岸田政権時代の2021年度にStartup Businessが追加されました。旧SBIR制度では米国と比較してスタートアップの育成が進んでいなかった点を見直したのです。このとき、根拠規定が「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」に移管されました。
そして2023年、SBをSmall/Startup Businessの略とする新SBIR制度が始動。内閣府を司令塔とした省庁横断の取組として拡張されました。
多数の省庁がSBIR制度に基づく補助事業を実施
SBIR制度に基づく補助金を実施する省庁は、内閣府の他、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、そしてなんと防衛省まで含まれています。令和6年度の当初予算によるSBIR関連の補助金は90件です。このうち、経済産業省が半分近い42件を占めていますが、逆に言えば他の省庁も半分以上の補助金事業を行っていることになります。
(参考:内閣府「令和6年度 SBIR制度における特定新技術補助金リスト」)
なお、よくご案内するNEDOのディープテックスタートアップやAMEDの医工連携などの補助金は経済産業省の、またJSTによるA-STEPは文部科学省のSBIR制度の予算でまかなわれています。
今後のSBIR制度に基づく補助事業の見通し
またSBIR制度の予算は2022年度以降急激に拡大されています。- 2022年度:546億円
- 2023年度:1066.2億円
- 2024年度:1406.7億円
来年度の予算でさらに拡大するかは衆議院の現状では何とも予測が難しいところ。しかし、「スタートアップを育成して我か国のイノベーション創出を促進する」というSBIRの目的は与野党共通と考えられるので、少なくとも減ることはないと考えています。
SBIR制度に基づく補助金は内閣府のサイトで確認できます。特に資金調達手段の一つとして補助金を検討されているスタートアップはぜひ一度ご確認ください。
本記事は2024/11/19時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
季節の俳句
むさしのの空真青なる落葉かな (水原 秋櫻子)
秋櫻子の句はさすがにストレートで明瞭です。武蔵野を生活圏としている身としてはこの季節の「真青なる空」を実感します。もっとも最近の秋空の風情は、昔のように冬に向かって一方向に進まず、途中で夏空が戻ったりするので少し難しいところがあります。
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