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量子コンピュータ対象のNEDO懸賞金が第2段階に突入

2025/04/15

NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発~懸賞金(量子技術)コンサルタントの淡河です。本日は、「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」(以降、「懸賞金(量子技術)」)をご紹介します。聞き覚えのある方、正解です。昨年11月に「第1段階」のご紹介をした事業です。

概要を復習すると、

  • 第1段階:課題提案、教育プログラム
  • 第2段階:研究者の選出
  • 第3段階:研究開発
の3部構成からなる事業です。

なお、本事業の表題の懸賞金は、3領域(Society5.0、QoL、Cool Japan)の研究開発による成果物の審査により、それぞれの分野のトップ3に提供されます。

いよいよ本格始動!懸賞金(量子技術)の第2段階とは


さて、11月の記事のとおり、懸賞金(量子技術)は昨年2024年10月に第1段階が始まりました。

その第1段階では、量子コンピュータの専門家か否かに関わらず、その潜在能力を引き出す多様な「課題提案」を広く募集。同時に、量子技術のための教育プログラムも提供されるという裾野の広い公募でした。

そして、今回の第2段階では、第1段階で選ばれた52課題に対し、その解決案を募集します。アイデア出しから「実践の段階」に進んだと言ってよいでしょう。

ただし、応募者は自ずから量子コンピュータの専門家に限られます。

52の課題への挑戦!あなたの専門知識を生かす機会に


52の課題は、量子コンピュータが将来的に貢献しうる様々な分野を網羅しています。これらの課題は、エネルギー、材料科学、金融、創薬、物流最適化など、多岐にわたる領域における具体的なニーズやボトルネックを浮き彫りにしたものです。

量子技術をお持ちの皆様には、これらの課題はまさに腕の見せどころ。その深い知識と独創的な発想から生み出された革新的な解決案で、量子コンピュータの可能性の前進に貢献できます。

「スクリーニング」通過者へのインセンティブ


量子技術解決案の「スクリーニング」通過者への「インセンティブ」第2段階で提案された解決案には、「スクリーニング」と銘打つ審査が行われます。そして、有望な提案には、インセンティブとして第3段階の最終審査に向けた「スクリーニング通過者への支援」が用意されています。

具体的には以下のような支援です。

  • 計算環境の提供:さまざまな種類の最新の計算環境を用意し、課題解決への優れたアイデアに対し、無償で計算環境を提供
  • 広報機会の提供:スクリーニング通過者の専用サイトにおける公表等(信用・信頼度、技術力、ブランド価値の向上)
  • ネットワーキング機会の提供:専門分野の有識者や他の量子分野技術者、他の参加者等とのネットワーキングの機会を提供。最先端の計算環境の見学会を実施
  • ワークショップ:研究開発期間中に今後事業化を踏まえた、有識者からの知見提供、アドバイス、フィードバックと参加者同士の議論の場を提供

賞金4,000万円が最終審査の勝者に


そして、この挑戦のゴールが成果物に対する最終審査です。各領域の上位入賞者には賞金が授与されるという、まさに「懸賞金」の仕組みが採用されています。

優勝賞金4,000万円は決して少なくない金額で、優れたアイデアに対する明確な評価とインセンティブを提供するものです。研究開発へのモチベーションは高まるでしょう。

応募対象は量子技術の専門家~狭き門にこそ価値がある


量子技術のフロンティア開拓へお伝えした通り第2段階への応募は、量子コンピュータ等の分野における専門家(個人またはチーム)に限定されています。専門家にとっては自身の能力を試す絶好の機会であると言えます。

高度な専門知識を持つ皆様が知恵とアイデアを競い合うことで、量子技術のフロンティアが大きく開拓されることが期待されます。

そして、この「懸賞金」というユニークなアプローチは、補助金のような使い道の制約がなく、自由な取組みを可能にしてくれます。

さらに、本事業では、今回の「解決案募集」を経ずに「成果物募集」に応募することも可能です。例えば、今回のスクリーニングで残念ながら採択とならずとも、まだ「懸賞金」のチャンスはある、ということです。

こちらは2026年7月頃が締切となる予定で、詳細の公開はもう少し先のようです。

自身の量子コンピュータ技術の価値を試してみたい、という方は、まずは52の課題で自社の技術が生かせるものがないか探してください。必ず見つかるでしょう。

本記事は2025/04/15時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

一片のまた加わりし花筏 (上野 章子)

以前、岸の桜で有名な目黒川沿いに社屋があるお客様に通ったことがあり、この季節は川面にしきりと花筏を見かけたものです。足を止めてその動きを眺めるうちにこの季語が好きになりました。