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大企業×スタートアップ、両者への支援

2025/10/14

大企業等のスタートアップ連携・調達加速化事業/PoPフェーズコンサルタントの淡河です。本日は、今年度開始したNEDOのスタートアップ向け支援事業をご紹介します。

事業名は「大企業等のスタートアップ連携・調達加速化事業/PoPフェーズ」

2025年10月31日の情報更新にて「大企業等のスタートアップ連携・調達加速化事業/共創テーマにおけるスタートアップの製品検証フェーズ」に事業名が変更になっています。


本事業は「大企業×スタートアップ」のペアを支援するプロジェクト。3月にはこれらの連携の活性化をサポートする事業者の公募が行われました。さて、今回は、いよいよ「本丸」、両者への直接支援となる「PoPフェーズ」の公募です。

今回の公募のポイントは「PoPフェーズ」「大企業等」「連携・調達」です。

公募要領が未公開なため、ここでは、公開中の「事業説明資料」に基づき、それぞれを解説します。

「PoPフェーズ」とは?

本事業の「PoP」は、Proof of Productの略。どうも馴染みのない表現ですが、何を指すのでしょう。

スタートアップのマーケティング用語で登場する「Proof of~」ですが、頻出するのは、事業化に向けた進展段階を表す
「PoC(概念実証)→PoV(価値実証)→PoB(事業実証)」でしょうか。

ChatGPT曰く、PoPはPoCとPoVの間に入るそう。しかし、どうも位置付けが曖昧なので、ここはやはりNEDOの説明を参照します。

「本格的な調達・購買に至るための“ラストワンマイル”段階にあたる製品カスタマイズや製品導入検証」

なるほど、本事業でのPoPは、製品化一歩手前の段階ということです。補助金事業では事業目的への適合性が重要ですので、NEDOの説明に準じて事業計画を作成しましょう。

補助対象者は、「大企業×スタートアップ」のペア

大企業×スタートアップ注目すべきは続く「大企業等」。これまでにもNEDOは大企業が対象の補助事業を多数実施しています。しかし、今回はスタートアップとのペアが支援対象。このように両者を同時に支援するのは初めてかもしれません。

さて、その構造です。補助金ページの図をご覧ください。まず、NEDOは、スタートアップの事業化資金の2/3を支援します。そして残りの1/3の資金は、ペアである大企業が提供することが条件です。

ここでNEDOは、その大企業に対しても、スタートアップに提供する費用を含めた事業化経費の内2/3をNEDOが支援するというスキームなのです。

「連携・調達」に関する注意点

大企業等とスタートアップの連携というと、大企業のスピンアウト事業を連想します。この場合、大企業がスタートアップの株を取得する場合が多いでしょう。

しかし、本事業では、「大企業等のスタートアップに対する出資による株式取得が行われていないこと」が応募時の条件です。

スタートアップから見れば、なかなか大変です。製品の購入を確約し、かつその開発費の一部を支援する、出資関係のない大企業を見つけなければなりません。

逆に考えれば、本事業は、その困難を抱えているスタートアップをターゲットにした支援事業と言えます。

条件がそろえば競争率は低い

さて、上記様々な条件が課せられていますが、加えて補助対象費用も気になります。

補助対象費用、すなわち事業全体に必要な費用の上限が1.5億円というのはどうでしょう?

「本格的な調達・購買に至るための“ラストワンマイル”」という製品化直前のフェーズへの支援としては、あまりに少ない気もします。

GX分野に限れば5億円とされていますが、分野に限らずこの程度は必要な気がしますね。

このように応募要件や補助金額の規模など課題はありますが、「ぴったりはまる」環境にあるスタートアップには競争率の低い「良い事業」と考えられるので、是非応募を検討してください。

本記事は2025/10/14時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

さわやかにおのが濁りをぬけし鯉 (皆吉 爽雨)

お彼岸まで続いた酷暑も10月に入ってようやく秋らしくなりました。掲句は身をひるがえした鯉がぬけた先の、清水の冷たさが肌に感じられるような句です。二十四節気ではすでに寒露を過ぎました。すっかり短くなってしまった日本の秋を十分楽しみましょう。